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偽りの舞

いつもお世話になっているからあげさんの絵にはっちさんの設定を貰って文章をつけた話。




【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【バイト妃原作寄り】【大人風味】


-*-*-*-*-*

数ヶ月前、後宮の立ち入り禁止区域で掃除をしていた時、何時もは来ない人がそこにきた。

「夕鈴殿、ちょっとお話が」

掃除の手を止めて振り向くと、李順さんが部屋の入り口の前に立っていた。話って何だろう? 借金の追加? 私何も備品壊してないわよね?
色々な疑問が頭の中を瞬時に駆け巡った。そしてその時言われた台詞は体が動かなくなるくらいに吃驚した

「夕鈴殿、数ヶ月後、他国の使者がいらっしゃいます」
「はい、歓迎の時か見送りの宴に出席という事ですね?」
「そうです。今回は歓迎の宴に出席していただきたいのですが・・・ ちょっと問題がありまして」
「問題・・・ ですか?」
「ええ、今回も縁談を進められています。当然断るつもりですけれど下手に断れません」
「・・・・・・」
「ですので陛下が妖艶な唯一の妃に夢中、あちらから断るという状況を作り出したいのです」
「はぁ・・・ どうやって・・・ でしょうか?」
「着飾ってもらうのは当然ですけれど、夕鈴殿には舞姫達に混ざって舞を舞いながら登場して頂きます!」

ぐっと拳を握りながら李順さんは何かを噛み締めるように言い放って「演技ですよ、演技! 夕鈴殿の本来の仕事ですから!」なんて言いながら消えていった。

それから掃除の時間は舞の練習の時間になった。陛下にこの事は内緒だって言うから秘密にしながら練習は進む。ある程度舞えるようになると本番の衣装を着て舞ってみる。けれど、衣装の露出の多さ、舞に合わせてなびくように作られている衣装の布に遊ばれてなかなか上手く舞えない。
何とか舞姫の衣装に慣れて踊れるようになる頃には宴の数日前になっていた。

歓迎の宴の当日、出迎えの謁見に出ずに舞の練習を他の舞姫さん達と一緒にする。何とか他の人と舞をあわせる事ができ、その汗を流しに湯浴みをし、湯浴みが終わると侍女さん達が私を着飾らせてくれる。

今日の衣装は肩がむき出しになるような真っ赤な衣装、帯は緑色でその帯を衣装と同じ赤い紐を何本も使い華やかに止められていて、帯の下の辺りからは薄い桃色の生地が腰から下の部分を飾っている。領巾は透けるくらいの薄い鮮やかな紫で一目見て高級品と分かるもの。
頭を飾る簪も煌びやかな金色、先には大きな宝石が沢山付いていて重量もあるし、季節の花もそれらにあわせて髪に挿す。耳飾りも何時もより高価なものだし、額の上の飾りに首飾り。手首にも細い金色の輪を何個か付け、爪は耳飾りの宝石や衣装と同じ赤に塗る

準備が出来上がり、部屋で少し舞ってみると動きに合わせて飾りからシャラシャラと涼しげな音色が聞こえてきた。
そして李順さんと最終的な打ち合わせをすると、舞を舞えと言われた事よりとんでもない事を言われてしまう。けれどそれも仕事かと思いながらぐっと心を落ち着かせ、その後を思い描く事で心を落ち着けようとするけれどそれは逆効果になる。踊りを披露する方が簡単とか思ってしまったけれど、出来るかしら。


 他国の使者が来てまた進められる縁談にうんざりしていた。向こうが到着して本題の話を進めそれが終わると歓迎の宴と言って夕刻に宴が始まる。何時もなら僕が着る衣装も少し豪華になるけれど、今日は特に特別な衣装を纏わない。こちらの方が立場は上、そちらの言うことは聞く気はないという無言の意思表示
何度か遠まわしに言われる縁談の進めに不機嫌な視線を投げかけるとやがて向こうは口を噤んできた「妃は一人でよい」何時もの決まった文句を言うとあちらも「お妃様はどちらに?」と言い出し、使者の傍に座る皇女の表情が段々曇ってくるのが分かった。やがて「お一つどうぞ」と皇女から酒を進められ、酌を受ける降りをして杯をわざと落とし、無言でとりかえるように傍に居た侍官に促し、睨むような視線を皇女におくるとおずおずと自分の席に戻って行った。
夕鈴は準備が遅れているとの報告を受けたが何時もの事と特に気にしないでいた。「我が妃を他の男の視線に晒すのはもったいないからな・・・」と機嫌悪い降りをして冷たく言うと向こうからため息が聞こえて来て、夕鈴が来るまで場を持たせるために「妃の準備が出来るまで舞姫達の舞を楽しむがよい」そう言いながら合図を出す。そして舞姫たちが舞を舞い始め、その舞を見て舞から目が離せなくなった。


 舞姫達の中心に、舞姫と同じ衣装を着た夕鈴がいて舞を舞っていた。衣装は他の舞姫同じだけれど少し違うのは簪の豪華さと領巾の色が最高級の紫色だったこと。
思わず李順の方に視線を送ると涼しい顔をしていたからこれは李順の案かと舌を鳴らした。舞が舞われている間中、宴の席に居た人間は何も言葉を発しないで舞に釘付けになっていた。そして舞が終わり、舞台の上、中心にいた舞姫が礼を取ったままそこに置去りにされる形で他の舞姫は退場していった。

「―――表をあげよ」

声を掛けたことで礼を崩し、顔を上げた夕鈴は何時もと違う衣装を纏っているせいか妖艶に見えた。

「・・・・・・こちらへ」

その一言でふわりと立ち上がり、衣装をなびかせながら席まで来る。途中女官から酒を受け取り、そっとそれを持ちながら僕の傍に来て使者と皇女にふわりと礼をとると手に持つ酒をそっと僕に傾けてくる。
「陛下、お待たせいたしました」無言で新しく取り替えられた杯を差し出すとそれにそっと注がれる酒、でも僕の視線は酒ではなく、あられもない衣装を着た夕鈴に釘付けになっていた。注がれた酒を一口飲むと使者を無視して夕鈴と会話をする

「今日の我が妃は・・・ より美しさが増しているな・・・」
「まあ、陛下にお褒め頂く事が何よりのご褒美ですわ。ありがとうございます」
「妃よ・・・ 近くへ・・・」

卓の上に飲みかけの杯を置いて、夕鈴に向け手を伸ばす。それは何時もの膝の上に来てという合図
人前だから抵抗されるかと思っていたけれどすんなり膝の上に乗ってきた。けれどこの後の夕鈴の行動に少し戸惑ってしまう。


img.jpg



夕鈴の左手は僕の肩の上、右手は僕の頭を包み込むように回され、左頬まで届いている。予想外の出来事に吃驚して動く事が出来なくなった。夕鈴は一瞬使者の方を向き、すぐ僕の方に顔を戻したから皇女に対し涼やかな視線を送ったのかもしれない。

何とか思考を戻して李順に視線を送ると何時もの表情をした李順がいたからこれは李順の策略かと瞬時に理解してこの状況を楽しむ事にした。おそらく夕鈴は李順に言われて狼陛下を妖艶に誘う妃を演じろなどと言われているのだろう。

僕に絡み付いていた手が解かれ、その手が両肩に置かれると夕鈴の腰と背中に手を回し、鎖骨から首筋に向かうように舌を滑らす。夕鈴の体がピクリと動くけれど抗議の声は出ない

「今日は一段といい香りがする・・・ 私を誘っているのか・・・?」
「まあ陛下そんな事はございませんわ。ですが私を欲してくださるのなら嬉しく思います」

舐めた鎖骨とは違う方の鎖骨をそっと指でなぞる。夕鈴の顔が段々赤くなってきたからこの状況に必死に耐えている事が分かった
何時もある大振りの袖と団扇を今日は持っていないから今後どう出るかが楽しみだった。
そっと夕鈴の頬に手を添えて目を見つめる

「君の瞳は私を誘う蜜のような色をしている・・・」

頬に置いていた手を使って首の裏を上から下にそっと指でなぞる

「まあ、陛下ありがとうござい・・・」
台詞の途中で口を塞ぐと「んっ・・・」という音が聞こえて来たから口を塞ぎながら胸の辺り、衣装の縁にまた指を滑らせて見た

「陛下、お戯れを」
にっこり笑いながら両肩に置かれていた夕鈴の手は、片手を僕の胸の辺りに置き、もう片方を頬に添えてきた
にこやかな表情を作りながらも僕の手の動きと言葉に体を硬直させ何とか耐えているようだった。もう一押しか・・・ そんな事を思った瞬間、李順から声を掛けられた

「陛下、使者殿が困っていらっしゃいます。お戯れはその辺で・・・」

この状況を作り出した本人が何を言うかと睨みつけるけれど李順の涼しい表情は崩れなかった。
最後に駄目押しで夕鈴に囁いた

「君が居れば他の女なんて目に入らない・・・ 君は僕を惑わすのが上手い・・・」

胸の辺りの衣装を少し下げ、そこに吸い付くと赤い花が咲いた。

「へ、へいか!?」
「この後2人きりになったら私にしか見せない表情と声を聞かせてほしい・・・」

その台詞を耳元で囁くと思惑通りに両手を自分の口に当てながら俯いた夕鈴をみて思わず笑みがこぼれる。傍に置いていた外套を夕鈴の全身に被せ抱き上げて立ち上がり、ついでに髪に飾られている生花を夕鈴が座る席に置く

「妃をこれ以上他の男の視線に晒すのは忍びない。私達の変わりは先ほどまで妃を飾っていたこの花だ。これがあれば十分だろう。後は皆で楽しむがよい」

不機嫌な空気を残して宴の会場を後にした。会場から出ると李順が「夕鈴殿、お疲れ様でした」と声を掛けてきたから

「・・・李順、勝手な事をするな」と睨む
「これで向こうも無理に縁談を進めてこないでしょう、狼陛下は唯一の妃に夢中というイメージも植えつけられましたし、この件は成功です」また表情を変えずに言う。

外套から少し出た簪を取り李順に投げつけたけれど、李順は無言でそれを受け取った。

「次は無いぞ」

最後に脅す言葉を残して歩き出す。
外套に包まれながら抗議の声を上げている夕鈴をこの後どうしようか考えながら後宮に戻った。


-*-*-*-*-*



設定的は
「李順さんに悪女を演じろと言われ演じるけれど、そんな夕鈴にせまる狼陛下」

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