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赤い飴 1


【二次元創作SS】【黎翔×夕鈴】

if設定:夕鈴は何処かの国の皇女です。

-*-*-*-*-*

 この夏日照りが続いて飢饉が起こった。王宮の一部を畑にして作物を栽培してみたけれど、それは焼け石に水状態。水がほとんど無いから作物は育たなくて、何時もは冬に開放する国庫に備蓄されている食糧を国民に配った。冬をどう乗り切ろうか考えていたら、隣国の白陽国から援助の申し出がありそれを受け入れる事になったけれど、問題はその条件。
狼陛下の花嫁になることが援助の交換条件。王侯貴族によくある政略結婚。人質。王族に生まれた以上は望んではいけない事なのかもしれないけれど、普通に恋をして生きてみたかった。

輿入れの話が進むにつれ、一つ分からない事が出てくる。狼陛下の治める白陽国と比べると私の国は小さい国。他の国からも狼陛下への縁談が星の数ほど寄せられているという噂話がこの国にも聞こえてくる。それなのに何故選ばれたのが特に名産もない、財政難の国の皇女の私なのかが気になるけれど、私の所にこの話が来た頃にはもう断れない段階まで話が進んでしまっていて、私は何も言うことが出来なくなっていた。

断れない縁談話は私の意志を無視してどんどん進んでいく。そして嫁ぐまでの短い間は輿入れ準備をするのは勿論だけれど、青慎と一緒に過ごしてみたり城下に行って屋台で売られていた赤い飴を食べたり、心残りが無いようにと国中を巡った。そして輿入れの準備が終わりいよいよ出発の日が来た。季節は話が持ち込まれた時期の寒い冬が終わって花が咲き乱れる春になっていた。冬の間に狼陛下から送られてくる品を開封する事はせずにすべて持っていく荷物の中にしまい込んだ。手紙も添えられていたけれど中身を見ずに燃やしてお菓子は侍女さん達に食べるよう促した。送られた品のなかには輿入れ当日の衣装もあったみたいだけれど、全て侍女や女官にまかせっきりにしていた。

出立の前の日、夕飯ももう家族三人で食べられないからと私が作った夕餉を囲んだ。自分が育った王宮に戻るのは多分これが最後だからと庭を歩く。先年、飢饉があったから畑にした部分もあるけれど、まだ庭として残されている所もあって、その風景を目に焼き付けるようにゆっくりゆっくり散策していた。何時もは夜に庭なんて危ないから出ないけれど、今日は特別だと無理を言って庭を歩いていたら、青慎に声を掛けられた

「姉さん・・・」
「どうしたの?青慎、風邪を引くから早く部屋に戻って?」
「それは姉さんもだよ。明日から長旅だから早く休まないと」

話している最中、傍に居た長年私に仕えてくれた侍女をそっと下げる。彼女から白陽国まで付いていくと言われていたけれど彼女を巻き込む訳にはいかなかった。

「青慎ありがとう・・・。確かにそろそろ冷えるから戻りましょう?」

「まだ遠い未来になるけれど、青慎が治めるこの国がどんな国になるか楽しみにしているから」
「うん・・・、僕頑張るよ・・・。姉さん幸せになってね」

そんな事を話しながら部屋に戻って眠る。

 出立の日の朝早く、少し動きやすい衣装を着て後ろ髪を引かれる思いで自国の王宮を出ると揺れ動く馬車の中から城下町を眺める。ここから白陽国までは3日くらい。それまで景色を楽しみながら休憩しつつ進む道のりは実際にはゆっくり進んでいたけれど、私には少し早く感じる。ふと昔の事を色々と思い出してしまって、途中に見える山に家族皆で行ったとか、小さい頃に連れて行って貰った近隣諸国の王族が集まった会合で見かけた人にもう一度会いたいとか、そんな事を思ってしまうけれどそれはもう願ってはいけない事。

馬車は国境を越えると王宮から付き従ってきた人はそこでお別れ。白陽国で私付きになるという侍女さんと、長年付いてきてくれた侍女さんが打ち合わせをしているのをじっと聞いていた。国境から白陽国の王宮までは2日間くらいと聞かされ、隊列は白陽国の王宮に向けて出発した。

白陽国内に入国してからは警備の都合、馬車の窓を開けないで欲しいと言われてしまい退屈な時間が流れる。ひたすら私付きという人とずっと白陽国の歴史の事や、夫となる陛下の功績、さらに貴族達の間柄や人間関係を勉強させられた。

・・・ちょっとうんざり

二日目の朝、王宮まであと数刻という場所さしかかった時、森を出た所で馬車は止まって少し大きな建物に付いた。聞くとそこは狩をするときに使う休憩用の離宮で、祠も祭られているらしい。
到着早々女官さんや侍女さん数人がかりで念入りに洗われて念入りに香油を塗られた。
髪が乾くと持ってきた荷物の中にあった狼陛下から送られたという真っ赤な花嫁衣裳を着せられ、衣装自体のありえないくらい重さに絶えながら椅子に座ると髪を纏め、簪を刺し、耳が引きちぎられると勘違いするような重さの耳飾りや首飾りをつける。一つ一つが見たことのないような高級品で布のさわり心地が違う。領巾の先にも金色の飾りが何個も付いていてさすが他国の援助を申し出るくらい余裕がある国は違うわねとため息が出た。
着替え終わって重さに耐えながら馬車に乗り、出発したけれど、ここでも窓は開けないでと言われて結局移動中に白陽国内の様子を見ることは出来なかった。


 王宮に付いて庭から謁見の間に行くまでがまた一苦労だった。なんとか侍女さん達が衣装を引きずらないようにと裾を持っていてくれているからまだ動けるけれど、それが無かったら多分重すぎて動く事すら出来ない。それに今日は確かまだ正式な婚姻の儀式はせずに日を置いてから執り行うと言われていたから当日またこの衣装を着せられるのかと思ってため息がでてしまった所で謁見の間に到着した。

謁見の間は少し冷たい空気が漂っていた。部屋には誰も居ず、部屋の隅に私を連れてきた侍女さんが待機しているだけ。
何も無い誰も居ない冷たい謁見の間の中央、そこには少し豪華な絨毯が敷かれていて、その上に座ってこの国の王様、狼陛下を待った。
座っているから衣装の重さは気にならなかったけれど、一つ気にすることが減るとその分気になる事が出てくる。今まで気にならなかった化粧の匂いと頭の装飾品の重さ。このあと礼を取るには頭を下にしなくてはいけないから狼陛下が永遠にここに来なければいいのにと思ってしまうけれど、それは叶わぬ夢のようで一人の官吏がそっと部屋に入ってきて陛下の到着を告げてきた。その言葉を聞いて頭を下げて手を座る膝の前に揃えて置くと、足音と衣擦れの音だけが部屋に響き渡り、やがて何かが椅子に座る音がして冷たい声が聞こえて来た

「・・・表をあげよ」


→ 赤い飴2



リクエストなのに何故か連載になったお話('A`)

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