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赤い飴 5

【二次元創作SS】【黎翔×夕鈴】【本物夫婦】

if設定:夕鈴は何処かの国の皇女です。

-*-*-*-*-*

 王宮から抜け出して当てもなく歩いていたら人が沢山行きかう大きな門があった。特に咎められることなく、その門をくぐると貴族の家が立ち並んでいたそれまでの区域とはまったく違う光景が広がっていた。

町中の大きな通りには沢山の屋台が立ち並んでいて、その回りにいる人たちは思い思いの格好で軽食を食べている。この国の人達は朝餉を家で作らないで外で食べる習慣があるのかもしれない。でも王宮からここまで結構距離があったっし、すでに太陽が高くなっていたから時間はすでに昼餉なのかも。

大通りを歩きながら屋台で出されている物を遠巻きに見て赤い飴がないか探してみる。でも季節が違うからか目的の物は見つからなくて、美味しそうに屋台の物を食べている人を見ているとお腹が空いてくる。
そういえばここに来てから夕餉を食べないで眠る日々が続いていて、食べようと思うけれど狼陛下に睨まれての食事は食欲がわかないし、なにより陛下が一つ一つの料理に一口手をつけると、私が手をつける前に全て下げてしまうから。
その後軽食と言って他に作られた物を差し出されるけれど、あの陛下の顔を見た後はとてもじゃないけれど食欲が出てこない。だから何も食べずに眠る日が続いていて昨日もそうだったから今はお腹が空いていた。
でも今はお金を持ってきていないから屋台は見るだけ。屋台が沢山立ち並ぶ通りは正直言って目に毒だけれど、何も持っていない自分が悪い。屋台を見ないように歩こう・・・
そんな事を思いながらトボトボ歩いていたら、ふいに今まで気が付かなかった違和感がある事に気が付く。ここは結構大きい通りで人も多いけれど、建物と建物の間の細い路地には人の気配がしない。
たまに人がいてもそれはすでに酒に酔っている人が笑いながらお酒を飲んでいる光景だけ。普通の町の人もあまりいい着物を着ていないからおかしいと違和感を持った。
その後は一人で黙々と通りを歩いていたらふと、後をつけられている気がして、その気配から逃げようと路地裏に入った。

路地裏に入ると太陽が高い位置にあるはずなのに光は建物に遮られているのか薄暗くて、冷え切った空気が漂っているだけ。何となくその場にいるだけで背筋が震える。
早く路地裏から抜け出そうとして早足で歩いてもう少しで大通りに出るという時に不意に手首を掴まれた。

「へへ、一人でこんな所にいる女を見つけるなんて俺達運がいいな」
「本当ですね兄貴」

私の手首を掴んでいた人はお酒の臭いを漂わせた人達。
その人たちを見ながら思っていた事はどんな国にも、昼間からお酒を飲んで女の人に手を出すという人がいるという事
暫く手首を掴まれたままにらみ合いをしていたら、向こうから何か言ってきた。

「気が強そうな女だな・・・ でも着ている服は上物だ、珍しい毛色をしていないけれど着物だけでも相当高く売れるぜ」
「そうですね兄貴。顔もなかなか可愛いし高く売れそうです」

もしかして、もしかしなくても私、今本当にまずい状況よね・・・。

「やめて!」

そう叫んだ瞬間「夕鈴!」と叫び声のような声が聞こえ、同時に何かが飛んできて私の手首を握っていた男の腕に何かが刺さる音がした。

「うわぁ!!」

男が怯んだ隙にその場から逃げようとするけれど、足がもつれてしまってその場に膝から座り込む。
何がおきたのか状況を判断できるようになる頃、目に入ってきたのは腹を抱えながら倒れている私の手首を掴まえていた男の人、それに変な帽子を被った少し小さい人がもう一人の男の人の喉元に刃を当てていた。

「ふん、貴様らよっぽど命が惜しくないようだな・・・」

路地裏の空気より冷たい空気と声が伝わってくる。

「ちょっとでも動いたら抵抗の意思ありと見てこれ突き刺すからネ?」
こっちは軽い声だけれど、大分物騒な事を言っている・・・。

・・・押さえつけられている2人組みの不良よりもっと怖い人達が・・・。というか何でここが分かったの!?

呆然とする私を置去りにして物事はどんどんすすむ。腕を刺された人はお腹を蹴られたらしく、動けないでうずくまっていてもう一人はいつの間にか後ろ手に縛られている。

「浩大、あとはまかせた」陛下のさっきよりも冷たい空気と声が路地裏に響き渡り、そのまま私を抱かえて路地裏から出て行った。

その後は抱えられたままの状態で馬に乗って王宮に連れて行かれて、着いた先は後宮の立ち入り禁止区域だった。

「ひとまず湯浴みをしてこれに着替えて」
そう言われて置いていかれた老師の部屋に程近い小さな湯殿、后用の大きい湯殿よりよっぽど落ち着く。一通り体を洗って出ると、準備されていた妃衣装に着替えて老師の部屋に行く。
そこには不機嫌な陛下が椅子に座っていて何となく「すみません・・・ お先にいただきました」なんて言ってみた。

「ここで待っているように」

不機嫌な表情と声、怒らせた・・・。老師と少し話をしながら髪を乾かして整えながら陛下を待っている時に老師との話の流れでどうして他に妃がいないのか老師に聞いている途中で陛下が湯殿から出てきた。
服装は下町でいた時とは違う服装。それを見て少しだけ心臓が跳ねた。

その後は陛下に抱えられるようにして部屋に戻ると心配していた侍女さんに迎えられる

「陛下! お后様も無事のお戻りなによりでございます」

顔を少し下げて挙手しながら侍女さんは礼をとった。

「今戻った。后は一人で後宮の立ち入り禁止区域に迷い込んだだけだ。心配をかけた」
「怪我が無くてよろしゅうございました」
「后は今朝、朝餉を取っていない。すぐに昼餉の準備をするように」

昼餉の準備が終わるのを陛下の膝の上で見守ることになった。

侍女さん達に聞こえないように声を低くして会話をする

「・・・・・・私はなぜ陛下の膝の上に居るのでしょうか?」
「君が兎みたいに跳ねて私から逃げてしまうからしかたない」
「逃げませんから降ろしてください・・・ 人目があって恥ずかしいです・・・」
「なら好都合、人目があるなら君は暴れない」

私を拘束する腕にちょっとだけ力が入った

「もう逃げませんから放してください」
「だからここで君を放すと仲良し夫婦の演技ができない」
「そんな演技する必要ありませんからっっー!」

食事の支度が出来ると陛下はまたさっさと人払いをしてしまう。誰かに見つめられながらの食事は好きじゃないから正直ありがたい。
向かい合わせに卓に座ると、陛下はまた何時ものように一皿一皿何かを確認するようにして一口ずつ食べて、私に声を掛けてきた。

「お腹空いているでしょ? 食べて?」

何時もの怒ったような冷たい口調じゃなかったから、それにちょっとだけ安心するとお腹が空いていたことを思い出した。

「いただきます――」

一口料理を食べてその後はどんどん料理を口に入れた。全体的に料理が冷めているが残念だったけれど、こんな豪華な料理、残すのもったいないし。

食事が半分くらい進んだ所でまた会話が始まった。

「ねえ、美味しい?」
「はい・・・ 美味しいです・・・」
「そう。所で君は一人で何処に行こうとしていたの?」

何となく目の前に座る人が違う人のような気がしたけれど、話は続く

「この国に来て大分時間が経ちました。でも王都を、この国の民の人たちや風景を見た事がありませんでしたので、見て見たかったです」

貴方から逃げましたなんて言えない。

「なら今度見せに連れていってあげるよ。でも暫くは僕と一緒じゃないと部屋の外に出るのは禁止ね。庭園の散歩も一緒の時だけ・・・ 分かった?」

卓に肘をついて手の平の上に顎を置く格好をしながらにっこり笑顔で笑われると「はい」としか言えなくなった。

「じゃあこの件はこれで終わり。今日は戻ってこられないかもしれないけれど、明日も来るから――」
椅子から立ち上がって私の頭をそっと撫でながら優しい声をかけられてもやっぱり「はい・・・」としか言えなくなる。

「残りはゆっくり食べてね?」そんな言葉を残されて部屋に一人になった。



→ 赤い飴6

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