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赤い飴 7

【二次元創作SS】【黎翔×夕鈴】【本物夫婦】

if設定:夕鈴は何処かの国の皇女です。

-*-*-*-*-*

野猪に襲われて体の震えが止まらなくなった。

「帰ろう。体が震えている」

輿入れの時、花嫁衣裳に着替えをするために使った離宮が狩の場所から近い所にあるから今日はこのまま離宮に泊まると伝えられた。
太陽が傾いた頃に離宮に到着して少し乱暴に陛下に湯殿まで連れてこられて一人で湯浴みをしていると、ようやく体の震えがとまった。湯からあがると離宮の人が待機していて湯上りの香油を塗ってもらった。
着物を着た所で離宮の人は何時もの侍女さんと交代。そのあと部屋に戻る。
部屋の長椅子の上には陛下が座っていて、私に気が付かないで書簡に目を通していた。
下町で助けて貰った時に気が付いたけど、よくみるとこの人って漆黒の黒い髪に赤い飴みたいな目と整った顔つき、綺麗よね・・・。なんて、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ思ってしまって心臓が跳ねた。


「―――どうしたの?」
「・・・なんでもありません」

貴方に見とれていました。なんて口が裂けても言えるものですか!

「そう? 何か言いたそうだったけど・・・?」
「では・・・ お聞きしたいことが何個か・・・ あります・・・」
「いいよ答えてあげる。ただし・・・ この体勢でなら・・・ ね」


陛下は立ち上がって私を軽々と抱き上げ同じ長椅子に座った。私は椅子に座る陛下の膝の上。
こ、こ、この体勢はちょっと辛い! 顔が近い! 「放して下さい!」と言ったら

「この体勢でいる間なら何でも答えてあげる・・・」

なんて言われて聞きたい事があるこっちにしてみれば大人しくこの体勢でいるしか選択肢はなくなる。恥ずかしさに耐えながらも一回深呼吸して話を切り出す。

「まず・・・ 一つ目ですけれど、どうして私があなたの正妃に選ばれたのですか?」
「・・・またそれ?」
「それに今と謁見の間の時と大分雰囲気が違うように思いますが・・・?」
「やっぱり気が付いた?」
「気が付かない方がおかしいです!!」
「まいったなー、これ李順に『ばれないように』って言われているんだけれどねー」

陛下、陛下の手が私に腰にそえられているのと、もう片方の手が私の背中とか頭とか、色々な所を撫でているのは気のせいですか!?

「さ、わ、ら、ないで下さいっっーー!!!」
「だからこの体勢でいる間なら何でも答えてあげるって・・・」
「頭とかを撫でるのは条件に入っていません!!」
「・・・昼間君を助けたんだからこれくらいのご褒美頂戴?」
「いいから早く答えてくださいっっ!」
「ま、いっか。えーとなんだっけ、君を正妃に選んだ理由・・・ だっけか―――?」

その後に「・・・んだね」何て聞こえた気がしたけれど、陛下の手が私の頬から首にかけて移動してきて、ぞっとする感触に耐えている最中だったからそれは耳に届かなかった。

「前にも言った通り、君の国が交通の要所で他国に攻め入られるとこの国が危ないから。飢饉の援助は縁談の口実」

目をそらしながら淡々と紡がれる言葉の裏には何かがある気がして「本当に本当ですか?」と言うけれど「本当」と言い切られる。

「では・・・ 今と謁見の間の時と大分雰囲気が違うのは何故ですか?」

陛下は本気で悲しそうな表情を一瞬する

「謁見の間の僕は演技。本来はこっちが素、この国は内政の建て直し中で強い王様が必要だから臣下の前ではずっとこれ。あの時は君の侍女が近くに控えていたでしょ?」

そんな表情の無いような淡々とした話し方、信用できません!

「では、他に妃が居ないのは?」
「・・・またそれ?」
「その裏表が、他の臣下にばれないように、ですか?」
「・・・うんまあそういう事に君は鋭いんだね。よくわかったよ」
「どういう事ですか!?」

私の後頭部にそっと手をあてて、陛下の肩に顔を引き寄せられた。私の顔が陛下の肩に埋もれるような体勢にさせられた。

近い! 心臓が持たないからこの体勢は勘弁して下さい!
顔をあげたくてもがいてみるけれど、私の力では陛下には勝てない。

「そろそろお腹空かない? 夕餉にしようよ」


近くにあった鈴を鳴らすと女官さんか侍女さんが来る。この体勢を見られる、そう思うと緊張で体が強張る。陛下の肩に私が顔を埋めている体勢は、夕餉の準備が終わって食事をする部屋に抱かれたまま移動してその部屋から陛下が人払いするまで続いた。

陛下が卓の椅子に座る瞬間、僅かな隙をついて拘束から逃げた。

「まあ・・・ いいけど」

また一瞬本気で悲しそうな表情をする陛下をみて胸がチクリと痛む。
卓で陛下と向かい合わせに座ると2人きりの夕餉が始まった。


 隣の部屋から夕鈴を抱いて移動して夕餉が用意されている部屋に行き、座ると一瞬の隙をつかれて逃げられた。相変わらず、すばしっこい兎だ。
 
椅子に座りながら眺め、今日もか・・・ と、内心ため息をつく
そうしていたら、想定していなかった事を言われた。

「私が淹れたのでよければ・・・ ですが、お茶を飲みませんか?」
「君、自ら淹れてくれるの? それは是非飲みたいな」
「確か先ほどの部屋にお茶の準備がしてありましたので、持ってきます・・・」

夕鈴は隣の部屋に準備されていたお茶道具一式を持ってくると器用に淹れはじめる。
どうぞと差し出されたお茶を一口飲むとなんだかほっとできた。

「お茶、淹れられるんだ」
「私の国の王宮には必要最低限しか人が居ないんです。だから何でも自分でやりました」

掃除だってした事もありましたし、料理だってしました。皇女がそんな事ってよく回りから言われましたけれど、節約の為ですから。と笑う夕鈴は何故か今まで以上に可愛く見えた。
それから飢饉の時にした畑仕事の話になって、自分で植えた作物が育っていく過程を見て楽しかった事や、畑にするために潰してしまった庭の話を聞いていたらさっき潤したはずなのにまた自分の喉が渇いている事に気が付き、渇きを潤すために淹れてもらったお茶をまた一口飲んだ
「うん、君が淹れたお茶は美味しい」と夕鈴に対して笑うとさっきまで笑っていた表情が一瞬で赤くなるのを見る事ができた。

淹れてもらったお茶を飲んで喉を潤してから、いつものように用意された料理全てに一口ずつ口を付けてみると、案の定。
一瞬で機嫌が悪くなって、ため息を付いてから人払いしていた人間を鈴で呼び、全て片付けろと支持を出す。夕鈴が吃驚した表情でこちらを見ていたけれど気にしない振りをしておいた。

「これから后と2人で先に王宮に戻る、后の準備をしろ。他の者には私から伝えておく」

料理が全て片付けられたのを見届けてから部屋を出て浩大を呼んだ

「浩大、見つかったか?」
「ばっちり“俺は”見たよ。でも証拠の確保は無理だった。」
「昼間の野猪は?」
「そっちは仲間が捕獲済み」
「とりあえず王宮に戻る、戻れ」
「何処に? お后ちゃんの警護? それとも王宮?」
「どっちにでも捉えるがいい。捉え違えたら・・・ 分かるな?」
「へいへい、警護に戻りますヨ」

王宮から連れてきた人間に一足先に戻る為の準備をさせて、準備ができると夕鈴を迎えに行った。
部屋には表情が硬い夕鈴がいて、そのまま特に声を掛けず抱きかかえると馬に乗り王宮に向かって出発する。ここから王宮まではそう遠くない。後ろには同じく馬に乗った浩大がついてくる

「あの、陛下・・・ お茶に何か問題でも?」

王宮に戻る途中、そう問いかけられたけれど今は一刻も早く王宮に戻るのが先決だと思って

「・・・馬に揺られながら話すと舌を噛むかもしれない。その話はまた後で・・・」

夕鈴の耳元でそう囁き、頷くのを確認してから馬の速度を速める。


 狩をしていた森の近くの離宮から王宮に到着したのは夜も更けた頃だった。王宮について吃驚した兵士や女官に迎えられたけれど、そんな事をいちいち気にしている暇はない。

夕鈴を彼女の部屋へ連れて行き、不在の間に何か仕掛けられていないか確認するけれど、特に何も異常は見つからない。これで予想していた事が予想では無くなってしまい、舌打ちをする。
行われている事の陰湿さにイライラする。王宮はこういう場所だという事は昔から知っていたけれど、本気でこういう場所が嫌になってきた。

何時も夕鈴と2人の夕餉の時、念のために確認すると毒が入っている。毒見をすり抜けて毒が料理に入っていると言う事は、料理が出される直前に入れられているという意味で、夕鈴の部屋には限られた人物しか入れないようにしていたはず。
始めは僕の事を嫌った夕鈴が毒を入れているのかとも思ったけれど、さっき食事の準備が終わるまで僕の膝の上から夕鈴を放さなかった時も入っていた。

一回だけ毒が入っていなかったあの時は突発的に僕と一緒の食事になったはずだから、毒の準備が間に合わなかったと考えるのが自然。
夕鈴の支持で誰かが料理に毒を入れられている可能性もあるけれど、夕鈴にこの国に王の暗殺を共謀するくらいの信頼関係を築けるほど仲の良い人間がこの短期間で出来たとは考えにくい。
それに長年夕鈴に使えていた侍女は自国に置いてきたと聞いた。その侍女と一緒なら夕鈴が支持を出して入れている可能性はゼロではないが、離宮での夕餉にも毒が混入されていて夕鈴自ら淹れたお茶にはそれが入っていなかったからこれで夕鈴自身はほぼ白

念のために浩大に聞けばあの人物がいれていたと言われ、証拠は無いが早々に動く事にした。何時まで経ってもなかなか成功しない計画に痺れを切らす時期だ。

自室に戻る途中の回廊、歩きながら考えを廻らせれば廻らせるほど、機嫌が悪くなる。その鬱憤は一足遅れて王宮に付いた李順に向けられ、出した指示に証拠も無いのに本気ですかと問いかけられる。
当たり前だと返し、証拠なんて捕らえた後に作れと言うと李順はため息を付きつつ、こめかみを抑えながら準備をしに行ったのを確認して自室に戻った。




→ 赤い飴 8



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