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赤い飴 8



【二次元創作SS】【黎翔×夕鈴】【本物夫婦】

if設定:夕鈴は何処かの国の皇女です。

-*-*-*-*-*

 次の日離宮に残してきた兵士達が戻ってきたとの報告を受けてある人物を人気のない部屋に呼び出させていた。
部屋には僕と李順、屋根裏に浩大。目の前にいるその人物を睨みつけながら李順と退路を絶ちにらみ合う。獲物となった人物はこの後起こる出来事を想像しているのか、それとも僕から注がれる視線に脅えているのか、恐怖で体が震えているようだったけれどそんな事はどうでもよかった。

「お前か・・・ 后の食事に・・・ しかも私と一緒の時にだけ毒を入れていたのは・・・」
「そんな恐れ多い事、私しません!」
「何とでも言うがいい、今の私は周りの声が何も聞こえなくなるくらい怒っているからな――」

腰に下げている剣を抜くとカチャっと音がする。
右手で剣を持ち、軽く素振りをすると、床に座り込む侍女の表情は青くなっていく。薄暗いこの部屋にでも分かるくらいに。

僕の左側にそういえば李順がいた。このまま処分するのもいいけれど少しは楽しんでみよう。

「そうだ李順、確かこいつの家の者は今朝全員捕らえたんだったな――」
「ええそうです。陛下が昨日の夜のうちに全員捕らえろと言うので捕らえました。残るのは正妃様付きの侍女であるこの方・・・ だけです」
「だ、そうだ観念しろ・・・ それとも・・・ この場で死を望むか・・・?」

昨日狩に同行し、兵士たちと一緒に後に戻ってきたこの元侍女を王宮と到着と同時にこの部屋に呼び出した。
体を震わす夕鈴の侍女、驚いた表情を一瞬するが恐怖でこれ以上は声は出ないらしい。目だけが泳いでいる。やっとの思いで絞り出される言葉は何だろう?

「昔から陛下は妃は一人で良いと仰られていました。その一人に私の家の姫がその一人になるように昔から準備していましたのに!」
「お前の家系の娘達は浪費家で有名だろ――? そんな娘達が私の唯一なんて笑わせてくれる」
「仮にもこの国は財政難ですからね、貴方の家系の姫なんて最初から選択肢に入っていませんよ」
「正妃様が居なくなれば、私の家の姫様が陛下の妃になれるはず――!」
「ですから、貴方の家系の姫なんて選択肢にすら入りませんよ」

眼鏡を指でくいっと上に上げて腕を組む李順がやるその仕草は本気で怒っている時にやる仕草。

「で、でもあんな弱小国の皇女よりは――!」

その言葉は僕の視界を狭めてくれた。

ふうん――。

さすがに幼稚な計画を立てるだけある・・・。

「后を殺害しようと食事に盛る毒を私と一緒の時にしか毒を入れなかったのは、計画が明るみになったとき、王暗殺の濡れ衣を后に被せようとでもしたのか? 笑わせてくれる」
「本当に欲に溺れた人間は醜いですね」

この状況で平然と悪態をつける李順に対してちょっとだけ笑った。

「さてこれ以上の言い訳は牢の中でしてもらおうか――」

最後に脅えさせる為に侍女に切りかかるふりをしようと身構えた瞬間

「陛下」

僕を呼ぶ夕鈴の声が聞こえてきて、そんな馬鹿なと切りつけるのを止めた。
剣を持ったまま声がした方向を見ると団扇で半分顔を隠し、老師とともに部屋の入り口で立ち尽くす夕鈴がいて、半分しか見えなかった顔からは半分だけでも十分過ぎるほど、人を見下すような冷たい視線が放たれていて、その視線を送られているのは僕ではないと頭で分かっていても背に汗が伝う。

「先ほど陛下が陛下と一緒の食事の時だけ毒を・・・ と、仰っていましたが・・・ それは本当ですか?」
「残念ながら本当の事のじゃ」

傍に控えている老師が片手で髭を触りながら用意していたような台詞を気を抜きながらなぞる声で言っていて、この2人はこの話を何処から聞いていたんだと再び背に汗が伝った。

剣を構える僕、それを咎める事無く青い顔で見守る李順、この状況にまったく脅えないで部屋に入ってくる夕鈴。そしてそれら全てに脅えているかのように体を震わせたままの元侍女。

「陛下との食事の時にだけ、毒を入れていたのはあなたですか? 陛下が口にされる物に毒を入れていたなんて―――」

僕にも負けないくらいの冷たい声と視線。

「短い間、でしたが、お世話になりました」

ニッコリ笑う笑顔が怖くて僕自身も震える。
李順は別の意味で震えているようだ・・・ が・・・。


 あの後の処理をすべて李順達にまかせて2人で庭に来た。何時もは庭の中をあまり歩かせないようにしているけれど、今日は夕鈴の好き勝手にさせていた。
何時も遠目にしか見ない池の対岸の花畑に行きたいと言われてそこに行き、存分に花畑を堪能した所で庭の木に咲いている花を夕鈴の頭にそっと挿してみる。

「ありがとうございます・・・」

赤い顔の夕鈴は可愛いけれど、あの部屋で初めて見た夕鈴の冷たい視線は二度と見たくないかも・・・。
付かず離れずの距離を保ってする庭の散策。部屋に戻ろうと思い、抱き上げようとするけれど逃げられる。
何時も夕餉の前にする追いかけっこみたいに退路を断つ事が出来ないからなかなか捕まえられない。

「いい加減に私から逃げるのはやめにしないか?」
「嫌ですわ、私が陛下から逃げるだなんて。むしろ、陛下が私から逃げないで下さい」
「私が君からいつ逃げた? 何時も私から逃げているのは君だろ?」
「離宮で何でも答えて頂けると仰られたとき、陛下は私に嘘を付いて逃げましたよね?」
「私が君に嘘を付くとでも・・・?」
「では、私からの質問に答えていただけますか? 私、陛下にお聞きしたい事が何個かありますの」
「昨日答えただろ・・・? まだ質問があるのか・・・?」
「ええ、たっっくさんあります」

散策中のあの笑顔は何処かに行ってしまって変わりにあの時の冷たい視線を浴びせさせられる。

そのまま、誰にも会話が聞こえないような場所に移動した。


 池の上にある四阿の中、僕は椅子に座って、夕鈴は出入り口付近に立っている

「お聞きしたいことが何個か・・・ あります・・・」
夕鈴は先ほど冷たい雰囲気のまま、僕に問いかけてくるから僕もそれに応える

「何が聞きたい、我が后よ」

椅子に座りながらほお杖を付き、笑いの表情を夕鈴に向ける。
夕鈴の機嫌は庭の散策を好きなだけさせたぐらいでは直らなかったみたいだ。

「昔から妃は一人とおっしゃっていたなら、私を選んだ理由は政略結婚の他に何かありますよね?」

あの時の話は最初から聞かれていたか・・・。

「君の国が交通の要所だから」
「陛下のそんな表情の無い、淡々とした話し方、信用できませんわ」

お願いだからさ・・・ そんな人を疑う目でこっちを見るのやめてくれない?

「夕鈴はさ、僕の事信用してないの?」
出来る限りの寂しい表情を作って夕鈴を見てみると、僕の事を疑いの表情見ていた夕鈴の顔が一瞬で赤くなった。これは・・・

「李順さんが『この国は財政難』と仰っていましたけれど、財政難なのに私の国に援助があったのは何故ですか? 李順さんが仰る事は嘘かと思いましたけれど、町の人の様子を見ればそれは嘘ではないと分かります・・・」

李順のやつ・・・ 自分でばらすなと言った「あの件」を不用意とはいえ夕鈴にばらすとは・・・

その事について言うべきかどうしようか悩んでいたらいつの間にか夕鈴が僕の近くに来ていた。
手に持っていた団扇は卓の上置かれていて、何故だろうと考えている隙に夕鈴は僕の首のあたりに抱きついてきて、そのまま膝の上に乗ってきた。
これはどういう事かと目を白黒させていたら、僕の肩に顔を埋めながら

「この体勢でいる間なら何でも答えていただけるんですよね?」

なんて言われると、もう李順から言われた事なんてどうでもよくなる。

「とりあえず、財政難は本当。でも援助が縁談の口実なのは確かだよ。本当はそんな口実なくても迎えてあげたかったけれど、臣下を説得するまで結構時間かかっていてね。そしたら君の国の飢饉でしょ? 援助が一番手っ取り早い方法だったんだ」

そっと頭を撫でて、嫌がられないか試してみるけれど嫌がられない。
これでようやく夕鈴との追いかけっこも終わらせることが出来る。

「本当はそんな口実無くても君を迎えてあげたかったんだけれど、心の準備って必要でしょ? お互い。で、君は何も覚えてない?」

その後そっと耳元で囁かれる夕鈴からの言葉を聞いて、やっとかと嬉しくなった。
それは昔、お互いが子供の頃に連れられて行った近隣諸国の王族が集まった会合でした夕鈴との約束の事。
「その時からです、赤い飴が好きになったの」
陛下の瞳みたいでしたから。なんて言われて本当に嬉しくて嬉しくて抱きしめる手に力が入る
そのままその体勢で昔の話をして、今までの空白の時間を埋めていく。

「嬉しいなー 覚えていてくれたなんて」
「性格が違いすぎて同一人物だと分かるのに時間がかかりました。」
「この性格をいきなり出すと君が混乱すると思ってさ。他の人に出す訳にいかないから2人きりの時にこの性格少しずつ出して僕の事覚えているか試していたんだけれど、覚えてないみたいだったからさー。本気で傷ついたよー。」
「・・・ごめんなさい。でも早くその事を言わなかった陛下も悪いです」

ちょっと拗ねるように頬を膨らませる表情も可愛い。やっぱり夕鈴がいれば他の妃なんて居なくてもよさそうだ。長年待っていた甲斐があった。その後、隠しておけと言われた財政難の件を何故教えたのかと李順から怒られる事になったけれど、そんな事今はどうでもいい。いつかは知られるはずの事だったから。


―終わり―







リクエストなのに連載になったやつようやく終わった\(^o^)/



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NoTitle

面白かったです(*^▽^*)

番外編で夕鈴と陛下の子供時代の番外編書いて下さい!!どんな約束したのか気になります♡

陽向さんへ

コメントありがとうございます。
番外編はリク主さんに言われて書きました。
明日の公開なので少々お待ちくださいませ~。
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