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赤い飴 8.5



【二次元創作SS】【黎翔×夕鈴】【本物夫婦】

if設定:夕鈴は何処かの国の皇女です。

-*-*-*-*-*

「本当はそんな口実無くても君を迎えてあげたかったんだけれど、心の準備って必要でしょ? お互い。で、君は何も覚えてない?」

「王族に生まれた以上は望んではいけない事なのかもしれないけれど、普通に恋をして生きてみたかったです」

そういうと僕に抱きつく夕鈴の手に力が入る。

「その相手は僕じゃ無いの?」
「陛下こそ、忘れましたか? あの約束」
「忘れてないよ。そのために僕は今まで必死になっていたんだから―――」



それは昔僕が辺境に送られ幾つかの時が経ったとき、今まで放置されていたのに急に近隣諸国の会合に同行せよと言われて同行して行ったときの話

*-*-*-


会場に到着してこの部屋で待機していろと言われて珍しく大人しくしていた。
ここは他の王族も来ている、何気ない些細な事が戦争になりかねない

でも少しならいいかと思ってこっそり部屋を抜け出した。

奥深い森の中にあった建物を背に歩き始めると川についた。季節は秋、葉が色を変え始めるこの季節は少し冷たい風を運んでくるけれど、特に気にせず川のほとりに腰を落として横になった。
横になっていると誰かの気配がしたから思わず身構える。周囲を確認すれば籠を持った女の子達が赤い木の実を収穫している所でそれならと特に気にせずに横になり続けた。

「どうしたの? ここで寝ていると風邪引くよ?」

急に声をかけられて吃驚して声のした方向を見ると、さっき赤い木の実を摘んでいた子が僕の傍にきて顔を覗き込んでいた。

「どうもしないよ? ただここで横になるのが気持ちよかったんだ」

でも風邪を引くからそろそろ起きた方がいいよ? そう心配そうな表情をしつつ笑う女の子は可愛い。
風になびく髪の手入れのよさや服装、遠くに控えているように居る女性を見ると少し身分がある子に見える

「君は何をしていたの?」
「私? 私はねこの赤い実を摘んでいたの。よかったら一つ食べてみる?」

持っていた籠をぐっと指し出し、また笑うその女の子の笑顔がまぶしい
けれどこれを食べて大丈夫だろうかと少し疑ってしまう。でも差し出された物を食べないのも・・・なんて思って一つだけその赤い実を貰った

女の子は籠一杯に入っていたその実を僕が一つ摘んだのを見届けて自分も一つ実を食べていた。それを見て僕も実を一口齧ると、口の中には酸っぱい味が一杯に広がる。

「このままだと私はあまり好きじゃないけど、周りに飴を掛けると美味しいの」

その後は実の活用方法や込められた言葉をずっと女の子から説明された。普段なら一方的に説明されるのは好きじゃ無いけれど、その女の子が言うならと相槌をうんうんと打つ。
その説明が終わりかけになると、女の子の付き人だろうか、遠くに控えていた女性が「そろそろお時間です」と制した。

「ごめんね、私はもう行かなくちゃ! 明日また会える?」
「・・・確約は出来ないけれど多分会えると思う」
「じゃあまた明日ね! 約束!」

約束か・・・ 僕が居る世界では約束なんてあって無いような物
さて戻るか・・・


 次の日も用意された部屋に待機していろと言われて退屈な時間をすごしていた。自分は何のためにここに連れてこられたのか少し分からないでもないけれど、誰かに利用されるのは正直嫌だった。
でもそんな思いとは裏腹に、自分の足は自然と昨日の川のほとりに向かう。川に到着すると昨日の女の子が小さな包みを持って川のほとりに座っていた。
僕に気が付くと昨日のあの笑顔を僕に向けてくれた

「こんにちは、時間の約束をしていなかったからずっとここでまっていたの」

何時も笑顔のこの子は、どうして僕にそんな笑顔を向けてくれるんだろうと思いながらもこっちも精一杯の笑顔で返す

「僕のこと、ずっと待っていてくれたの?」
「うん、昨日言ったこれを食べてもらいたくて」

そう言って包みの中を見せてくれると昨日の赤い実が何個か一列に串に刺さって、飴がかけられている物が何本も入っていた。
一つ、僕に手渡してくれると女の子は僕の目の前でその飴を食べた。

「おいしいよ?」
「うん・・・、頂きます・・・」

促されて僕もその飴を食べてみると昨日とはまた違う味がして美味しかった。
そのまま他愛のない話をしてまたあの約束をする時間がやってくる。

「明日もまた会える?」

少し悲しそうな表情で言われるけれど、明日は帰国の日

「ごめんね、多分もう会えない。明日には帰らなければいけないから」

それにこれ以上居心地のいい女の子の傍にいたら、帰れなくなる。だからその女の子とある一定以上の距離を取る為に後ろに一歩下がった。そんな僕に手を差し出して追いかけてこようとし、転びそうになる女の子を慌てて受け止めた。その瞬間に舞う香りと感触に心を奪われる

「大丈夫?」
「ご、ごめんなさい」
「ごめんね、これ以上は無理。帰らなきゃ」

そう言って後ろを向いて歩き出した僕は、近隣諸国の王族との会合の為に用意されていた会場の中にある自分の為に用意されたという部屋に戻ってきてずっと考え事をしていた。
転びそうになった所を助けたとき、腕の中にすっぽりと入ったあの女の子の体は僕と比べてとても小さく思えた。
あの女の子、名前を聞くのを忘れてしまったけれど、できればまた会いたい。
でも今日の夜は宴、その後は帰国。帰国したらもう多分会えない。あの笑顔が欲しい・・・。
あんな笑顔を無邪気に僕に向けてくれる人は始めて・・・。

そんな事を考えていたら宴の時間になっていた。夜の宴の会場、最後だからと僕も宴の会場にいた。
周りの大人たちの表情の裏にある思惑は何かと思いながら過ごす宴、周りを見渡すと見かけないはずの姿があった。そこから僕に注がれる視線を感じ取り、宴をそっと抜け出して誰も居ない廊下から庭を眺めていたら視線の主がやってきた。

「やあ今晩は、また会えたね」

視線の主に僕は声を掛けた。すると、また会えたと昼間の笑顔を僕に向けてきた。
特にお互いなにも言われなかったけれど、この国の王族の席にこの女の子はいたし、僕は僕でそういう席に座っていたからお互い何も言わない。
そのあと時間がゆるすかぎり、他愛のない話をしてまた約束をする

「ねえ、また会える?」

時間がきてその場を立ち去ろうとするその女の子の手を行かないでと言う代わりに握りながらそう言った。
多分この会合に僕が連れてこられたのは、どうでもいい皇子のこの僕とこの子を会わせるため。
大人の汚い裏事情通りになるのは嫌だったけれど、今回だけはその通りになるのも悪くないかと思った。

「私・・・ 赤い飴を見て、あなたの事を思い出すね」
「うん・・・ 僕は何を見て君の事を思い出そうかな?」

「約束しよ? また会おうって」

精一杯背伸びをして僕が握っていなかった方の手の人差し指を立て、その指を僕の唇の上に置かれながらそんな事を言われて思わずクスリと笑った

「また会おうね」

そこで時間切れ。名残惜しくその子の手を放し、その場を立ち去った方向をずっと見つめた。そしてその後は会える機会もなく、帰国の途についた。

*-*-*-

 四阿の中、僕に抱きついたままの夕鈴と昔話をしていた。
「その時からです、赤い飴が好きになったの」
「嬉しいなー 覚えていてくれたなんて」
「性格が違いすぎて同一人物だと分かるのに時間がかかりました。」
「この性格をいきなり出すと君が混乱すると思ってさ。他の人に出す訳にいかないから2人きりの時にこの性格少しずつ出して僕の事覚えているか試していたんだけれど、覚えてないみたいだったからさー。本気で傷ついたよー。」
「・・・ごめんなさい。でも早くその事を言わなかった陛下も悪いです」

そんな話をしていたら、後処理が終わった李順が四阿にくる

「陛下、捕らえた者が全員牢に揃いましたので取調べを・・・」
「あぁ・・・」
夕鈴を四阿の椅子に一人で座らせて「またね?」と額にキスを送り、瞬時に赤くなる夕鈴を置いて牢に向かった
最後に残した言葉には青くなっていたけれど・・・。

「陛下・・・ もしかして・・・」
「財政難の件、お前からばれたぞ?」

青い顔の李順を見るのは少し楽しい。

「シラを切り通せばよろしいのに」
「いつかはばれる事だ」

冬になったらあの赤い飴をまた夕鈴に送ろう、僕も久しぶりに食べたい。
夕鈴は恋をして生きてみたかったって言っていたけれど、僕も相手が夕鈴なら恋をしながら生きてみたい。
王族として生まれても、あの赤い飴に使われている実に込められた言葉通りに生きていいのなら、今まで夕鈴が大人になるまで待ちながら君を手に入れようと必死になっていた過去なんて、きっとすぐにどうでもよくなる。


*-*-*-*-




赤い飴のオマケ話
8話の「そのままその体勢で昔の話をして、今までの空白の時間を埋めていく。」の部分の昔話をちょこっとしてみた話

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fuyu様へ

赤い飴にはちゃんとモデルがありますが、今の所はモデルになった物はこれだと私の口からは言えないですね。
そのうち何かの伏線に使うかもしれないので。
ただ、調べればその赤い飴は何か、答えはおのずと出てくるとは思います。

二人の幸せを共に祈りましょう~

名無しの読み手様へ

このオマケ話は某SNSでオマケの構想だけはあると言ったら是非書いてという声が多くて書きました!
結構苦労して書いたので、可愛いと言っていただけると嬉しいです♪
またお越しください~♪
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