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秋の公園・水族館




【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・二人は同じ会社の同僚(黎翔さん部長、夕鈴平社員)です
・年齢詐称有り


-*-*-*-*-*


「ここの公園、水族館と観覧車もあるんだ。先に水族館に行ってみない?」
「水族館ですか!? 私暫く行ってないので楽しみです! 早く行きましょう!?」

秋風が吹く公園で僕と手を繋ぎながら早く、早くと手を引く夕鈴。それにあわせて僕も少し早足で歩く。

水族館について入場券を買い、長い階段を歩くとようやく水族館の入り口にたどり着く。
水族館の入り口は半円状の透明なドーム型の建物で、そこから地下にもぐる様な構造になっている。
その半円のドームの周りは池になっていて、たまにここは噴水が高く舞い上がっているらしい。

その建物から中に入ると、まず大きな水槽が目の前に飛び込んできた。
水族館の一番の売りである大水槽の中には種類にもよるけれど、3mくらいまで大きくなる魚や、群れを何百匹といった規模で形成しながら泳ぐ小さな魚などが数種類ほど周回していてすごい迫力がある。この水槽を一日眺めている事もできそうなくらい。
夕鈴もその圧倒的な迫力に見入っているようで、二人で手を繋ぎながら水槽の前から動けなくなっていた。
しばらくそのまま二人で水槽を眺める。周りの家族連れの子供達が凄い、凄いと言いながら僕達の周りを走り回っていたけれど、そんなことはまったく気にならなかった。
水槽を十分眺めて次のフロアに下りると、今度は世界の海の魚達が飼育されているスペースになる。
人ごみを掻き分けながら、順路通りに歩いていくと設置されている水槽は小さなスペースに区切られた水槽で、一つ一つの水槽の中には色とりどりの魚達が思い思いに泳いでいたり、魚が砂に潜ったりしていて、水槽をまた二人でじっくりと眺めながら歩いた。
珊瑚の中にいる黄色と青い魚がゆったりと動いている水槽をみて夕鈴は少しだけ悲しそうな表情をしたような気がしたけれど、気が付かないふりをした。

それにしてもここの水族館はイルカやアシカのショーが無いかわりに、海鳥が水中を飛ぶように泳ぐ姿が楽しめるような水槽、波が常に機械で立てられている水槽には海藻を展示して、中に数種類の魚が優雅に泳いでいる。
じっくり見なければ数十分で終わってしまいそうなコーナーだったけれど、夕鈴は一つ一つの水槽を食い入るように見つめ、そのスピードに合わせて歩くから時間がかかる。
渚の生物を展示するために海の浅瀬を再現したスペースでは、手を伸ばせばその中で飼育されている生物に手が届きそうで、触りたいけど触ってはいけない。とウズウズする夕鈴が可愛かった。

順に歩いていくと、今度は僕達の腰ほどの高さしかない変わった形の水槽があり、その中にはサメやエイがいて、誰でも触れるようになっていた。

「触っていいらしいよ?」
「怖くて触れないですよ」
「人を噛まない種類なんじゃない?」

そんな会話をしながら触れないと言いつつ、数分後にはおそるおそるサメに触っている夕鈴がいた。

次はペンギンが展示されている部分に到着。入り口はトンネルのようになっていて、片面がガラス張りになっていてペンギンの水槽の中が見える。ガラスにそって水にプカプカ浮きながらこちらを見ているペンギンのお腹が白くて少し可愛い。
他には凄いスピードで水の中を泳ぎまわるのも数羽いて、泳いでいるペンギンの体にはそのスピードを表現するかのように空気の粒が無数についている。

「わぁ・・・ 部長、ペンギンって泳ぐの早いですね」
「うん、そうだね」

けれど僕が見ていたのはペンギンではなく、無意識に僕の腕に抱きついてきている夕鈴だった。そして夕鈴は僕から離れると、水槽のガラスにそっと手を置いて中をじっくりと見ていた。
水槽のガラスに手が置かれる瞬間、泳いでいたペンギンが夕鈴の手を餌と勘違いして、手を啄ばもうとしたのか、泳ぎを止めて夕鈴の指の辺りを一生懸命くちばしでパクパクさせていた。

「部長、可愛いです!」

はしゃぎながら水槽に置く手を上下左右に動かす君の方が子供みたいで可愛いよと言えば、子供じゃないですなんて言って頬を少し膨らませて拗ねる夕鈴が目に浮かんできた。

「うん、可愛いね」

当たり障りの無い返答をして今度は階段を上がり、屋外に行く。季節は秋で海は水族館のすぐ隣、夕日が落ちかけている外は風が強くふいていた。

「寒くない?」

無言で再び僕の腕に抱きついてきて「こうすれば寒くないです」なんて言われると、どう返答していいのか分からない。

屋外はさっきの水槽の上の部分でかなり広いスペースに無数のペンギンが岩場のようなスペースに飼育されている。
中には数羽で寄り添っていたり一生懸命歩いていたりするペンギンたちがいて、そんなペンギンたちに夕鈴が釘付けになるのは予想通りだけれど、夢中になれば僕から離れてしまう夕鈴を見るとペンギンに少しだけ嫉妬してしまった。

ペンギンを存分に堪能したらそこで水族館は終了。出口に行き、ふと入場券を買った時のスペースをちらりと見ると、水族館に入った時最初に見た大水槽の中にいた一番大きな魚の等身大パネルがあった。そのパネルには大きな魚が尾ひれを下にして描かれていて、その魚の隣には身長が測れるようなメモリが記入されていた。

「あれ、あんなの最初からあった?」
「ありましたよ?」
「気づかなかった。背比べやってみようよ?」

そのパネルに描かれている魚と僕が背くらべをすると、僕の身長は上を向くその魚の顔の真ん中くらいまで。
次は夕鈴。夕鈴の身長は魚の鰓のあたりの部分までだった。

「んもう、分かってはいましたけれど、部長と身長差がありすぎですっ!」
「こればかりはどうしようもないなー?」
「うぅ~」
「夕鈴は、僕より身長が小さくて嫌なの?」

「・・・・。 ・・・です。」
「ん?」
「部長に私からキス・・・出来ないです・・・。」

「「・・・・・・・。」」

「いいよ、その時は僕が夕鈴の近くに行くから」

そう言いながら夕鈴に口付けを送ってみたけれど、人が多い所で何をするのかと怒られてしまった。赤い顔の夕鈴を抱きしめながら囁く

「それに夕鈴が本当に僕にキスしたい時は、僕のネクタイを引っ張ってまで強引にするでしょ?」

抱きしめて離れる寸前、耳元でそう囁いてみると更に顔を赤くする夕鈴がいた。そんな夕鈴の肩を抱きながら夕日が落ちて暗くなり始めた公園に戻るために歩く。ふと後ろを向くと水族館の出入り口になっていた透明の半円のドームはその骨組みを強調するかのように照らされていた。


「さあ、次は観覧車に乗ろう?」




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