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風船 1


【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】
・年齢詐称有り 黎翔さん28才、夕鈴24才
・二人は同じ会社の同僚(黎翔さん部長、夕鈴平社員)です

-*-*-*-*-*



春、大学を卒業した私はとある会社に就職した。
就職先は運よく第一志望だった会社に就職して半年、ようやく仕事に慣れてきたある日私は会社に残って資料作りをしていた。
金曜日の終業時間ギリギリに言われた資料作り、家に帰っても誰かが待っている訳ではないけれど早く終わらせたい。
丁寧かつ迅速を心がけて作っているとようやく終わりが見えてきてほっとする。最後の一部をまとめ始めると急に会議室の扉が静かに動く。
そこから感じる気配でここに来たのが誰かすぐ分かったけれど、気が付かないふりをした。
「やあこんばんは」
正直言って白々しいと思った。この人は私が会議室に来て資料を作り始めてからずっと廊下にいたのに
「なにか御用でしょうか“部長”」
最後をわざと強調して言うとその人の表情が一瞬だけゆがむけれど、今の私にはそれを気にしている余裕は無い。
早くこれを纏めて帰りたい。今日は寒気が来ると天気予報で言っていたから寒くならないうちに家に帰りたかった。
「そんなに警戒しないで。帰り一緒に食事でもどう?」
「いいえ結構です。そういうのは部長の大切な人と行ってください」
「・・・何か誤解してない?」
「何のことか分かりません。失礼します」

誰も居ないフロアに戻り大量の資料を持って指定の場所にしまう。自分の机に戻ればいつの間にか部長も自分の席に座って何かしている。それを見ない振りをして少しだけ残っていた仕事を片付けて机を片付けると、ようやく帰宅の準備にとりかかる。
パソコンをシャットダウンして机の上を整理してコートを羽織り、また部長に視線を送ってみるけれど部長はPCに向って苦い表情をしていた。
部長が何かに集中しているこういう表情の時、周りが声を掛けても耳にその声は届かない。
でも、何も言わないで先に帰る訳には行かない。
「お先に失礼します」
「あぁ、お疲さま」
その状態のときに返事が返ってきたのには驚いて、思わず慌てて逃げ出した。昔から変わらないこの人にちょっとだけ安心した


 会社を出ると雪が少し舞っていて、電車に乗って家路を急ぐ。
電車を降りると駅から家までは遠いからその間の寒さが身にしみてくる。息を吐くと白くなる息、何か暖かい物が欲しい。
冷蔵庫の中身を思い浮かべると牛乳が無い事に気が付いた。スーパーに寄ってその他の食材も買ってから家に帰る。
するとアパートの前に何故か部長がいた

「やっと帰ってきたね」
「な、なんでここが!?」
「僕を誰だと思ってる? 君の事なら何でも知っているよ」
「・・・私は部長の事何も知りませんので、さようならっ!」

わざと足音をたてながらアパートの階段を登って少し大きな音をさせながら扉を閉めた
本当に気分わるいっ!

家に入ってスーツをハンガーにかけてお風呂に入る
嫌な事を全部シャワーで洗い流したらカップを暖める為と、少しの紅茶を出すお湯を沸かしている横で牛乳を温めた。
お湯が沸いてカップを暖める途中、暖めていたカップは始めペアカップだった事を思い出した。
今は片方しかないカップをみてとても切ない気持ちになるけれどこのカップが対になることはもう二度とない
にじみ出た涙を拭きながら、暖かいミルクティーをカップに注いでコタツに座ろうとすると、ふと外が気になってカーテンから道路を覗いた。
道路を見ると誰も居ない。さっき感じた違和感は気のせい?
暫くそのままカーテンの陰に隠れて外を見ていたけれど、道路には誰も姿もない
さっきまでそこに居た部長は家に帰った。今日は特別に寒いから早く家に帰って欲しかった。
明日は土曜日だけれど今日はもう寝てしまおうと思い、ミルクティーを飲み干すとそのまま布団にもぐりこんだ。


 会社で会議室を使って資料を作っていた夕鈴を部屋の外で待ち、終了間近のタイミングで声を掛けると予想通り拒否されてしまった。
夕鈴がここに来て9ヵ月、何度食事に誘っても廊下を歩いている途中の夕鈴を捕まえて面と向って話をしようとしても拒否されていた。
資料作りを終えた夕鈴を追いかけ、帰宅の準備をしているとパソコンに厄介な案件のメールが来ていて、その返信をしていたらいつの間にか夕鈴は帰ってしまっていた。
あわてて会社をでて夕鈴を追いかける。彼女のアパートの住所は知っている。
最寄り駅に先回りをして付くと携帯に入れていた住所を頼りに彼女のアパートに行く。たどりつくとそのアパートは築年数が相当経ったアパートだった。
ここの2階、中心の部屋に彼女は住んでいるらしいが、僕が気になったのはこんな所に夕鈴一人で住まわせていて大丈夫かという事だった。
そのアパートを眺めながら道路に立ち尽くしていたら買い物袋を手にした夕鈴が遅れて到着する。
買い物に何処かへ寄っていただけ、何か心配事に巻き込まれた訳ではなかったと安心し、声を掛ける。

「やっと帰ってきたね」
「な、なんでここが!?」
「僕を誰だと思ってる? 君の事なら何でも知っているよ」
「・・・私は部長の事何も知りませんので、さようならっ!」

わざと足音をたてながらアパートの階段を登って少し大きな音をさせながら扉を閉める夕鈴を唖然としながら見送る。
壁にもたれかかり、頭を掻きながら夕鈴は自分の事を大分嫌っている事を再認識してしまい少しだけ気分が沈んだ。

しばらくそのままで居ると、雪が降って来る。

「雪か・・・」

何となくそう呟き片方の手を出す。手の平に落ちた雪が溶けていく所を見ていると、その場に似合わない明るい声が聞こえて来た

「りっじちょーさん」
声の方向に視線を移すとそこには浩大がいて、そのヘラヘラ笑う顔に少しだけ嫌悪を覚える

「李順さんが早く戻って来いってサ~」
「またか」
「おっとその言い方は無いんじゃない?」
睨み返すとその後はニヤリとした笑みが返ってきた

何も言わずに浩大が乗ってきた車に乗り込もうと歩き出すとまた浩大の声が聞こえてくる

「ねえこの辺、確か理事長さんの大事な兎ちゃんが住んでいる所でしょ?」
「それが何か?」
「あまり治安のいい場所じゃないね」

何も言わずに手を出すと浩大は車のキーを投げてくる
「部屋の明かりが消えるまで」と言うと「了解」という声が闇の中に溶けていった

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風船 2

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