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雨 1

【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・黎翔さん21歳(大学生)夕鈴17歳(高校生)の時のお話

*-*-*-*-*-*-*-

満員電車の同じ車両の人やすれ違う人達。
その人たちはあまりにも数が多すぎて印象にも残らない。
周りの人たちにとって自分もそんな印象に残らない人の一人にすぎないから私は無言で毎日家から学校を往復する。
そんな毎日が続いていたけれど、テスト期間中の今日は気分転換もかねて学校の近くにある公園に足を向けてみた。

今日の目的地は沢山のビルの中にある。それなのに緑が一杯あるせいか空気が澄んでいるから嫌なこととか、テストの合間とかにここへ来て深呼吸する。
そうすると自分の中にある淀んだ空気が一瞬で入れ替わる気がして好きだった。

公園内を一周する合間に見える高い木の上からみえる高いビル。
木々を境界線に別世界が広がっている。

今にも雨が降り出しそうな天気なのがすこし残念だけれど、こういう天気の時にしか気が付かない事もあるから気にしないでどんどん歩いていた。
春になると花を付け、花が散ってから葉をつける木はすでに葉を沢山つけていて、その葉は風になびき、花壇に植えられた花は蕾から花を咲かせようとしている。
池にいる魚を上から見て、鳥が近くを泳いでいる。そんな何気ない光景が嬉しくて思わず足取りが軽くなる。すると雨が急に降り出してきた。

この先には東屋があって、そこにはベンチもテーブルもある。そこで雨宿りをしよう。
バックを傘代わりにしてたどり着いた東屋には先客がいた。

「あ、ごめんなさい。雨がやむまでご一緒してもいいですか?」
「どうぞ」

東屋の先客はそっけない態度の男の人。
缶ビールを片手に真剣な顔をしながらパソコンに文字を打ち込んでいた。

そこから雨の音と私がノートに書き込むシャーペンの音、パソコンのキータッチの音、たまに缶ビールが開けられる音しかしない時間が流れ出した。
不思議な事にこういう時は勉強が何時もより捗る。やがて問題を進めていくと、どうしても分からない問題が出てきた。
自分でいろいろ試行錯誤をしてみたけれど、どうしても解くことができず思わずため息をついた。

家に帰ってから再度解きなおそうと思って溜息を付きつつ教科書をしまおうとした時だった。

「そこ、使う公式が間違ってる」
「え?」
「そこは2、3ページ前の公式を使うといい」

言われたとおりに当てはめ計算すると答えが出くる。

「ありがとうございます、おかげで助かりました」

返事は返ってこない。
それでもその人は私が問題に悩んでいると的確にアドバイスをくれた。
テスト範囲の問題が解き終わり参考書を閉じたけれど雨はまだ止んでいなかった。
降りしきる雨を何も考えないで眺めていたら、また急に話しかけられた。

「ねえ、君、この辺の学校に通う子?」
「あ、はいそうです」
「・・・・ここよく来るの?」
「それなりには・・・・」

雨宿りの先客とはじめてお互い顔を見ながら話をした。赤い瞳が綺麗な人だった。
雑談をしていたら急に話題が変わった。

「ねえ、ちょっとお願いしていい?」
「え、あ、はい。何でしょうか?」
「口裏合わせお願いね」
「え?」

そう言って雨宿りの先客は、まだ雨が降っているのに鞄を脇に抱え東屋を飛び出していった。
訳が分からなくて唖然としていると、髪を一つにまとめた男の人が入れ違いにやってくる。

「娘さん、黒い髪の瞳が赤い人を見ませんでしたか?」
「え、あ、えっとその人なら」

私はほとんど無意識に全然違う方向に向かって「あちらに・・・」と言っていた。

「ありがとうございます」

梅雨の雨はなかなかやまない。

普段すれ違う人達は、ほとんど印象に残らない人達。
でも今日出会った男の人たちが印象に残らない人ではなくて。
その人達は一体何だったんだろう疑問とともに一人、東屋に取り残された。

*-*-*-*-*-*-*-


雨 2





部長さんと夕鈴の出会いを書いた話。
とある映画をみてそのシーンを書きたくなりました。

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