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いろいろ


前回の話はこちらから

【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】
・二人は同じ会社の同僚(黎翔さん部長、夕鈴平社員)で同棲しています
・風船から数週間後のバレンタインデーのお返し、ホワイトデーのお話


-*-*-*-*-*


 3月のある土曜日、休日出勤を終えて帰ってくると夕鈴が何時もと違う事に気が付いた。

「夕鈴髪切った?」
「少しだけですけど切りました。というかよく気が付きましたね」

朝と今ではほんの少しだけ髪の量が少なくなって前髪も短くなっていた。
普段前髪だけなら自分で切ってしまう見たいだけれど、そろそろ龍台頭。
いい機会だからと今回は美容院に足を運んだようだ。

「部長もそろそろ散髪に行かれてみてはいかがですか?」
「そうだね、時間を見つけて行ってくるよ」

次の日、仕事の進み具合を確認しに理事長室に現れた李順を捕まえ髪を切るように頼んだ。

「・・・またですか?」
「お前の方が腕がいいし知らない人間に刃物を持って後ろに立たれたくない」
「この書類の山、今日中に片づけて下さいよ?それが条件です!」

正月前から伸ばしていた髪を春に切る風習がこの国にはある。それを龍台頭(ロン・タイ・トウ)という。
自分の髪を龍に見立て、それを切ることにより更なる成功を願掛けするいわゆる縁起を担ぐ行事だ。
李順に髪を切ってもらいながら書類を見ていると浩大が何かを手にしながらやってきた。

「あれ、散髪中~?」
「浩大か。あの件はどうなった?」
「というか理事長さんいい加減に美容院とか行かねーノ?」
「浩大もっと言ってやって下さい」
「そんな暇あったら夕鈴と過ごす」
「夕鈴? ああ、理事長さんの大事な兎ちゃんね。懐かしいなー。この後デートでも行くノ?」
「違う、龍台頭だ」
「理事長さんって季節のイベント気にする人でしたっけ? 兎ちゃん効果?」
「うるさい」
「そうだ李順さん、後で俺のも切ってよ」
「浩大こそ散髪屋に行ったらどうです?」
「知らない人に刃物持って後ろに立たれるのが嫌だからネ。李順さんの方が腕いいし」
「・・・浩大もですか・・・まったく・・・」

僕の散髪が終わると浩大の散髪が始まる。
散髪をしながら報告を聞きつつ打ち合わせをしていると浩大の散髪はあっという間に終わり、それが終わると持ってきた包みを渡された。

「部長さんのフロア女子社員へホワイトデーのお返し。来週だよ? 用意してないでしょ?」

その言葉を聞き、日付を確認してサッと血の気が引いていった。
夕鈴へ何をプレゼントするか考えているうちに思ったより時間が経過してしまっていて、今日を逃せば買いに行く暇はない。
時計を見ると午後4時今から行けば間に合う。
そう思って立ち上がった瞬間、鋏を持った李順に睨まれた。

「理事長ー。その書類を今日中にとお願い申し上げたはずですが?」

何もない空間を鋏でチョキチョキと切りながら怒りのオーラを背に纏う李順からは、書類が片付くまで逃げる事は出来なかった。


 あれから高速で大量の書類を片づけ、何とかデパートに足を運ぶ。
もうすぐ閉店時間だというのに休日という事もあり、少々混み合っている。
デパートはホワイトデー商戦真っ最中で商品もそういった物が揃っていた。
バレンタイン以来、それと無く夕鈴は何が欲しいのか観察してみたけれど今日まで答えは出なかった。
ふと、カップルが宝石店でアクセサリーを選んでいる光景が目に入る。
夕鈴はこういった物は好まない。マシュマロとクッキー以外の菓子がいいだろう。

地下はホワイトデー用に用意された色々なお菓子が売り場に花を添えていた。
この中で夕鈴が一番喜びそうな物は何かと考えながら歩くけれどいいものは見つからない。
結局フロアを何周かして、小さな飴の詰め合わせともう一つお菓子を購入し帰路につく事にした。

帰る途中ある店の店頭で面白い物を見つけ足を止め、店頭に出ていた説明を軽く読みさらに詳しく調べる。
思わず口角を上げてしまうようなその由来に納得して、数種類ある商品を一つ選び予約しておいた。

そしてホワイトデー当日、この日は出張で朝は夕鈴の顔を見ることなく家を出た。
出張先でメールをチェックしているとその中に夕鈴から贈った飴の写真付きで一言だけ「ありがとうございます」と書かれたメールを見つけ、思わず笑う。
昨日のうちに夕鈴のディスクに名前を書かずに小さな飴の詰め合わせを置いて置いたけれど、誰のかすぐに分かってくれたようで少し気分が軽くなる。
それから大急ぎで出張先から戻り、閉店ギリギリで予約していたお菓子を受け取り、もう一軒立ち寄って家に戻った。

マンションに付くと部屋のインターフォンを鳴らす。
鍵を持っているけれどわざわざ開けてもらうのは、扉を開けた時に一瞬だけ見える夕鈴の笑顔が見たいから。
相変わらず僕に対しては一線を敷いたような態度しか取らない夕鈴だけれど、その時だけは笑顔を向けてくれる。
扉が開いた瞬間、手に持っていた花束で夕鈴の視界を塞ぐようにして差し出し、少々驚かせてみた。

「ただいま、夕鈴」
「お帰りなさい。どうしたんですか、この花束」
「ホワイトデーのお返し、受け取って?」

そう言って予約して買ったアップルパイも差し出した。

「ありがとうございます」ピンクを基調として作られたチューリップの花束で赤い顔を半分隠しながらお礼を言われたけれど、欲を言えば顔を隠さないでほしかった。

夕飯が終わり、2人でアップルパイを食べお茶を飲みながらゆっくり話をする。

「そういえば部長、どうしてお返しがアップルパイなのでしょうか?」
「3月14日を鏡文字にすると『PIE』になるから今日はパイの日なんだって。だからだよ」
「あ、本当ですね!」

そう言いながら笑う夕鈴はとても無邪気に見えて、もう一つ込めた理由には気が付かないような気がしてきた。
・・・・それでいい。


深夜、夕鈴が完全に寝静まっているのを確認してからこっそり夕鈴の部屋に入る。
気持ちよさそうな寝息を立てて寝る枕元に飴と一緒に買ってあったマカロンを置き、髪を撫でた。
ふと唇が目に入りいつから夕鈴とキスをしていないのか考えたけれど、分からない。
今まで離れていた時間がいかに長かったか思い知らされる。

どうして僕がてピンクと赤のチューリップの花束を買ってきたのか。
なぜ、数種類あったパイの中からわざわざアップルパイを予約してまで買ってきたのか。
最後のお返しがなぜマカロンなのか理由に気が付くだろうか?
気が付かなくていい。

僕から離れて行かないでほしいと願いながら眠る夕鈴のおでこにキスを送った。


-*-*-*-*-*







そんな訳でチョコを3回ほどもらった部長さんにお返しを何種類か用意させてみました。
ちなみにパイを送った理由なのですがπは円周率、永遠と続くじゃないですか?
だから夕鈴と別れることなく、末永く続いていきたいからパイを購入したみたいです。


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