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金平糖の味 1

雨 5』の続きのお話です




【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・黎翔さん21歳(大学生)夕鈴17歳(高校生)の時のお話


*-*-*-*-*-*-*-

雨の日に出会った不思議な男の人の名前を始めて聞いたのは先週。
名前を聞いてから変わったことと言えば、あの東屋で会う日は雨の日ではなく、待ち合わせをして合うようになった。

そしてもうすぐ私は試験期間。この試験期間中は特に東屋に行く事もせずに黙々と家で勉強しようと思っていたから暫く会えないと伝言した時、連絡先を教えてと先輩に言われたけれど少し困ってしまう。
私はそういった類の物を持っていない。だから次の約束をしてからその時は分かれた。

最終日はお昼前に学校が終るから、それから皆でお昼ごはんを兼ねて少し遊びに行く事にする。
先輩とは夕方に合う約束だし、それまで時間はある。久しぶりに羽根を伸ばそうと思った。

「ねえねえ、何処にいく!?」
「そうねーってちょっと夢華、急に抱き付いて来ないでよ!」
「えーだって夕鈴抱き心地いいんだもんー」

それから校門に行くと、ありえない人が校門の前で女子生徒に囲まれていて体が凍り付く。
気が付かないふりをしてそこを通り過ぎようと思ったけれど、声を掛けられるとそれも出来ない。

「あ、夕鈴」

先輩の周りを囲んでいた女子生徒が一斉にこっちを見る。

「夕鈴この人が前に言っていた気になる人!?」
「え・・・? 私そんな事言った?」
「言ったじゃない『最近気になる人は眼が赤くて髪が黒い人』って!」
「凄い格好いいんだけど!?」

周りの友達がキャーキャー騒ぐし、ギャラリーの視線が痛い。
おまけに先輩が煽るような事を言ってくれる。

「へえ、僕の事気になるって友達に言ってくれていたんだ。うれしいなぁ」

思い切り不機嫌な顔で睨みつける。

「久しぶりに合えて嬉しいよ。これから一緒にランチでもどう?」
「折角ですけどこれから友達とごはん・・・」

そう言いかけた途端、誰かに背中を押されて先輩の方に倒れ込んでしまった。

「おっと、飛び込んで来てくれるくらい僕にあえて嬉しかった?」
「なっ!!」
「この子これから特に予定無いと言っていましたのでお好きにどうぞ!」
「ちょっと夢華!」
「じゃあ夕鈴またね~」

唖然とする私を置いて友達は居なくなった。
取り囲んでいたギャラリーの事は見えないかのように、先輩は私の手を持って黙々と歩いて行く。
いい加減手を放して下さいと言って手を振りほどき、数歩離れた場所で先輩に睨みつける。

「もう、どうして校門にいるんですか? 約束は夕方からって話だったのに」
「僕の方も早く予定が終わってね。折角だから一緒にランチをと思ったんだけれど・・・迷惑だった?」
「友達と買い物に行こうと思ってました」
「君の都合を聞いてからと思ったんだけれど、連絡手段がなくて。お詫びに何かご馳走するよ」

それから先輩のおすすめだという喫茶店まで来た。
案内された席はお店の2階で、階段はとても急だったから転ばないように慎重に登る。
途中後ろにいた先輩からゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてきたから声を掛けると、赤い顔で何でもないって返事しか返ってこない。
パスタを食べながら話をしているとデザートが出てくる。
一緒に出てきた紅茶がとても美味しかった。

「美味しい紅茶ですね」
「紅茶好きなの?」
「はい、いい香りがする紅茶が好きなんです」
「ふうん」

ゆっくり香りと味を堪能しながら話を続けていた。

「あ、そうそう、君にプレゼント」
「え? でも私誕生日とかじゃありませんよ?」
「僕があげたかっただけだから、気にしないで受け取ってくれると嬉しい」

大きくない小さな包み。中を開けてみると携帯電話が出てきた。

「あの、これは受け取れません!」
「これから冬になるでしょ?何時もの公園の約束、急に行けなくなったりする事もあるかもしれないし、そういう時の連絡用」
「それでも受け取れませんよ!」
「僕が急にこれなくなってもずっと寒い所にいるの?風邪ひかれるのは困る」

受け取れない、受け取っての押し問答をしていたら急に先輩が立ち上がり、近づいてくる。

「僕の番号とアドレスは入れておいたから。次の約束はまた連絡する」

耳元で低い声で囁かれるとどうしても体が震えてしまって少しの間、何もできなくなってしまい、ようやく我に返ると先輩は階段を降りようとしている最中で、慌てて荷物を持って追いかけた。

すると急に視界が暗くなってふら付いてしまい、私は階段を踏み外し一直線に先輩の背中に向かって落ちていく。
体の痛みを覚悟したけれど、一向にその痛みが無く、感じたのは学校の校門で優しく抱き留められた感覚だった。

「おっと危ない。ちゃんと足元見て歩かないと」
「ご、ごめんなさいっ!!」

それからレジに行って、お詫びに私が食事の代金を出そうとして断られてしまった。

「初デートの食事くらい僕に出させて?」
そんな事を言われたけれど、デートじゃありませんって言えば凄い寂しそうな顔をされたけれど負けない。
最終的に今度またお菓子を私が作ってくる事で話は落ち着いた。

「それではまた・・・」
漸く話が付いて帰ろうとした時、また眩暈に襲われてふらついてしまった。
そしてまた抱きしめられて、低い声が耳に届く。

「あのさ、今日までテストだったんだよね?」
「はい、そうですけれど・・・」
「ちゃんと寝てた? 目の下に隈が出来てるし、体が疲れ切っているんだよ」

そういえば最近まともに寝ていなかった気がする。

「家まで送っていくよ。帰りの途中倒れられても困るし」
「何から何まで申し訳ないです!一人で帰ります!」
「だめ。放っておけない」

そのまま家まで送ってもらい、帰宅してすぐベッドに倒れ込む。
目が覚めると既に夜で、回らない頭今日の出来事を思い返していた。

結局ご飯もご馳走してもらう結果になった。
鞄の中の携帯電話を見つけて先輩に何かお礼をしないといけない思い、悪戦苦闘しながら短いメールを先輩に送る。

「今日はありがとうございました。次に会える日を楽しみにしています」



金平糖の味 2


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