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金平糖の味 2



【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・黎翔さん21歳(大学生)夕鈴17歳(高校生)の時のお話


*-*-*-*-*-*-*-

お礼のメールを送って何日か経ってから先輩からの返事がようやく届く。

“返事が遅れてごめんね。明日か明後日、何時もの公園でどう?”

何気ない会話のような文面が嬉しかった。

“明日、何時もの東屋で待っています”

それからはメールで時間と曜日を合わせ、お菓子を持って公園へ先輩に会いに行くようになった。
先輩との時間が楽しくて、ずっとこんな時間が続けばいいのにと思うと同時に、不安になる時がある。
その不安の正体には気が付いていたけれど、変な事を言って困らせたくないという気持ちと、言えばこの関係が無くなってしまいそうで、怖くて何も言えない。

言うに言えない気持ちを胸の奥に隠しながら何度も、何度も先輩と公園で会う。
街がクリスマスの色に染まり始めた頃、何時ものようにお菓子を持って公園に行く。
今日も同じような時間が繰り返され、帰ろうと支度をしているその時だった。

「夕鈴ごめんね。多分年内に会えるのはこれで最後になる」
「え・・・寂しいです」

まだ12月が始まったばかりなのに。

「僕も寂しいけど試験だから。ごめんね?」

寂しそうな表情で頭を撫でてくれた。

「次に会えるのは、いつ頃ですか?」
「うーん、はっきりとは言えないけどバレンタインの辺りかな?」
「寂しいですけど、我慢しますね?」
「あ、そうだちょっと早いけどこれクリスマスプレゼント」

小さな包みを渡される。

「紅茶好きでしょ?」

中身は紅茶で、確かに色々な味の紅茶を飲むのは好きだけれど、それを受け取ってもいいのか少し迷った。私は先輩に何も用意していない。

「ごめんなさい、私プレゼントの用意何もしていないです」
「いいよ、この後会えないのは僕の都合だし? 今度会える時に期待してる」
「・・・・・・ん・・・ど」
「ん?」
「あの、何時になってもいいので、今度この茶葉が売っているお店教えてください」
「いいよ? ちょっと待ってて」

そうして先輩は紙とペンを用意して地図を書き始めた。

「住所と地図、それにお店の名前を書いておいたから迷わないと思う。迷ったら連絡頂戴?」

ちがう、そうじゃない。私が求めている事はそういう事じゃない。本当はもっと別の繋がりが欲しかっただけ。

「これだけでは分からないので、今度一緒に行ってもらえませんか?」

嘘をついた。本当は先輩と一緒の時にこのお店の前は何度か通ったし、一人で入って何回か商品を買った事もある。
次に会う約束。連絡先が一件しか登録されていない携帯電話、その他にもっと先輩との繋がりが欲しい。ただそれだけ。

何時の間に私は欲張りになってしまったのかと内心呆れながら、でもその約束はどうしても欲しかった。

「うん、いいよ。遅くなってもいいなら」
「はい、バレンタインの辺りにまた会ってくれますか?」


 街がクリスマスの色に染まり始めた頃、そろそろ試験の準備をしなければと思いながら公園に足を運ぶ途中、ある店に立ち寄る。
夕鈴が好きだと言うから紅茶の勉強をはじめ、自分が気に入った茶葉をプレゼント用に購入するためだった。
こっちの都合で会えない期間が長いお詫びの気持ちと、これを飲んで僕の事を少しでも忘れないでいてくれればと。

無事に渡して帰ろうとしていたら思いもよらない事を言われる。

「あの、何時になってもいいので、この茶葉が売っているお店教えてください」
「いいよ? ちょっと待ってて」

買った店を紙に書き渡すとさらに予想もしない事を言われた。

「これだけでは分からないので、今度一緒に行ってもらえませんか?」

・・・嘘をついているのは分かっていた。
いつも公園から駅に送る途中、この店の前を通るたび夕鈴は寄りたそうな顔をしていたのを僕は知っている。
何かを訴えるような、真剣な表情で言われてしまえば拒否は出来ない。そもそも拒否する理由も特に見当たらない。

「うん、いいよ。遅くなってもいいなら」
「はい、バレンタインの辺りにまた会ってくれますか?」

思わず夕鈴の前髪のあたりを撫でて「うん」と返事をする。
何となくだけど、この子の事、もっと、もっと知りたい。

そんな感情を持つようになったのは多分、この頃だったと思う。


→ 金平糖の味 3

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