FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

金平糖の味 3


【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・黎翔さん21歳(大学生)夕鈴17歳(高校生)の時のお話


*-*-*-*-*-*-*-


それから暫くしてようやく夕鈴と会う事ができた。久しぶりに会えたその日、貰ったお菓子はチョコレート。
友達にあげたチョコの残りだと付け足された手作りの小さなチョコレート。一つその場で食べるとほのかに甘い味が広がる。

「何時ものお菓子も美味しいけど、今日のチョコは特別に美味しい」
「頑張って作ったんですよ?」
「そうだ、来月のお返し何がいい?」
「え、別にいりませんよ。この前ご飯おごってもらいましたし、携帯電話だって・・・」
「それは完全に僕の我がままで持ってもらっているだけ。それにこうして毎回美味しいお菓子も貰ってるし?」

もうひとつ、チョコを摘まんで口の中に入れる。すると再度あの甘い味が広がって幸せな気分になった。
このチョコだけじゃない。夕鈴からもらったお菓子は食べると幸せな気分になれる。
残りは家に帰ってからの楽しみ。チョコを鞄にしまうと、遠くに李順の気配を感じた。

「ねえ、ごめん。ちょっと付き合って」
「え? え?」

訳が分からないと言いたげな夕鈴の手を繋ぎながら公園の中を走り抜ける。
これから夕鈴と一緒にあの紅茶のお店に行くから、今ここで李順に捕まる訳にはいかない。

公園の出入り口に到着してようやく走るのをやめた。息が中々整わない夕鈴にちょっと罪悪感を覚たけれど、赤い顔で息を切らしている様子が可愛くてたまらなかった。

「あ、ごめん。ちょっと早かったかな?」
「大丈夫です!」
「じゃあ約束のあのお店に行こう?」
「はいっ!」

紅茶のお店に行って色々なお茶を試飲する。夕鈴は一つ気に入ったらしい茶葉を買っていた。
そこで時間切れ、夕鈴を駅まで何時ものように送る。

「先輩今まで試験でしたよね?」
「うん?そうだよ?もう終わったけど」
「よかったらこのお茶飲んでみてください。リラックス作用があるんです」
「ありがとう。帰ったら早速淹れてみるよ」

駅の改札での別れ際その茶葉を渡され、帰宅して包みを開けると、さわやかなリンゴの香りが香ってくる。
そのお茶を淹れて飲んでいると疲労がたまっていたのか、いつの間にか机に突っ伏して寝てしまっていた。
しまったと思いながら時計を見ると、まだ遅いとは言えない時間。
少しほっとして夕鈴に一通のメールを送った。

“今日はありがとう。次はいつ会える?”

一番最初に夕鈴から来たメール以降、僕からメールを送らないと夕鈴からは来ない。
それが少し嫌だったけれど返事はマメにもらっていた。メールを夕鈴に送り終わるとすぐに着信音が無機質な僕の部屋に鳴り響く。

“こちらこそありがとうございます。次に会うのは先輩の都合のいい時にお願いします”
“4日後なんてどう?”
“はい、分かりました。いつもの曜日の4日後に”

メールの文章は僕の頭の中で夕鈴の声で再生される。その度に顔がニヤケてしまうのが止められない。
短い文章のやり取りは、まるで恋の駆け引きをしているみたいだった。
駆け引きなんてしないで、すぐに気持ちを伝えられたらどんなに楽なんだろう。
夕鈴が僕のメールを受け取ってどんな思いで、どんな表情をして読んでいるのか気にならないと言ったら嘘になる。

本当はメールなんかじゃなくて声を聴きたかった。
でも今声を聴いたらすぐにでも彼女の家まで行ってしまいそうな自分が居る。
会いたいけれど会えないもどかしさが僕の鼓動を早くする。
今まで気が付かなかったけれど、僕は夕鈴の事が好きなんだと思う。

「4日後か・・・」

自分で4日後なんて言ったけど、もっと早い日時を指定すればよかったと後悔した。
溜息を付きつつ口にチョコを放り込み、甘い味を感じながらシャワーを浴びる。

そういえば夕鈴は僕の事、どう思ってくれているんだろう?
早く夕鈴に会いたい、その疑問の答えを教えて欲しい。

しかし答えを聞くに聞けないまま夕鈴と公園で会う回数だけが増え、次の季節がやってきた。
春、学年が変わる少し慌ただしい時間。それでも何とか時間を見つけて夕鈴と会っていた。

「先輩、先輩聞いてますか!?」
「あ、うんごめん何だっけ?」
「んもーちゃんと聞いてくださいよ」

聞けるわけがない。公園の何時もの東屋のベンチの上、夕鈴は腹筋をしている。
その足を僕が押さえている訳なんだけれど・・・・・・。

制服のスカートのまま、僕と向かい合わせに足を折っている。
その体勢だとスカートの中身が見えそうで見えない。無防備にも程がある。
こういう事をされると、自分が夕鈴にどう思われているのかと自信がなくなる事がある。
喫茶店の事は本人は知らなかった事だとは思うけど、正直今日のは確信犯か、ただ単に鈍感なだけなのか・・・。
とりあえず、自分の手元の辺りはなるべく、見ないように・・・。見ないように・・・・。

腹筋をしているから、僕の方に向かって夕鈴の顔が何度も近づいてくる。
押さえているだけで暇な僕は、近づいてくる夕鈴の額をつんと人差し指で押してみた。
その反動で、そのまま後ろに倒れていく。

また起き上がってくる夕鈴の額をまた指で押す。と、また倒れていく。
そんな事をして僕は気を間際らしていた。

「ですから先輩聞いてますか!?」
「あ、うんごめん何だっけ?」
「もー!!」

僕が話を理解出来るまで、同じような会話を5回は繰り返していた。らしい・・・。

「今週末、君は友達と勉強合宿にいく・・・で、いいかな?」
「そうです。やっと話が通じました。」

ちょっと頬を膨らます夕鈴が可愛い。その頬を軽く指で押してみた。

「もう、何するんですか!」
「ごめんごめん。で、その合宿にちゃんと携帯電話持って行ってね?」
「え、置いていくつもりでした」
「二泊三日の間に何があるのか分からないでしょ? 道に迷うかもしれないし、友達とはぐれるかもしれない。ちゃんと持って行って?」
「そういえば、そうですね。ちゃんと持って行く事にしますね、ありがとうございます!」

そもそも、この腹筋も旅行で皆にお風呂に入るから少しでも痩せておきたいらしい。

「君はそんな事しなくてもいいと思うんだけれど?」

これはどうやら失言だったようで、この後いかにこの気持ちが女の子にとって大事なのか、散々語られてしまった。



→ 金平糖の味 4


スポンサーサイト
Secret

訪問者

検索フォーム

RSSリンクの表示

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。