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金平糖の味 4


【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【現代パラレル】

・黎翔さん21歳(大学生)夕鈴17歳(高校生)の時のお話


*-*-*-*-*-*-*-


 高校3年生に進級する春休みを利用し、私は友達数人と電車で一時間くらいの民宿に来た。
山の中腹にあるこの民宿の周りには木とか山くらいしかなく、駅の近くには小さな商店が数件ある程度。
到着してすぐ荷物を置いて旅館の周りを散歩がてらに見て回ったけれど、他にもこれといって遊ぶ物がなく、勉強に集中できそうな環境だと思ったのが第一印象だった。

それから皆で黙々と勉強を始めて一日目、春休みの宿題が終わた。二日目3年生の教科書で予習を始める。
やっぱり習っていない教科書だから難しくてこういう時、先輩が居ればいいのにという考えが頭をよぎった。

「あ、夕鈴今誰かに会いたいとか思ったでしょ?」
「え?なんで分かるの!?」
「引っかかった、適当に言ってみたのに、誰に会いたいと思っていたの?」

ケラケラと笑いながら私をからかう夢華は相変わらずだった。

「もう、人をからかって遊ばないでよ!」

何とか予習を終え、最後に皆でもう一度旅館の周りの散策に行く事になった。
何度来ても周りには山と川しかない。深呼吸をすると美味しい空気が体に入ってくる。
あの公園の空気も好きだけれど、山の澄んだ空気には遠く及ばない。
初日に行く事が出来なかった場所とかを色々まわって、クタクタになって戻って来た。

旅館に戻って歩き疲れたし、最後だからと夕食前に皆で一緒にお風呂に入る。

「ちょっと夕鈴スタイル良いー!」
「そんな事無いって・・・!! というか何処洗っているのーー!!」
「何言っているの、そんなこと無いわよ!お湯の掛け合いで勝負よ、勝負!」
「えー!なんでそんな事で決まるのよー!」

そうなると体の洗い合いとか、湯船のお湯を使って水の掛け合いというのは自然な流れで、一人が誰かの体を洗い始めるとまた誰かが誰かの体を洗う。
宿泊客は私たちだけだから、旅館の人に迷惑にならない程度に皆で思い切り騒いだ。
結局お湯の掛け合いは決着がなかなか付かなくて、のぼせる寸前まで続いて笑いすぎてお腹が痛くなる。
皆で髪を乾かし合い、夕食を食べ終わると今度は皆で布団を敷いてまくら投げが始まった。

もみくちゃにしつつ、されつつ、楽しい時間が流れていたその時、携帯電話の音が部屋に鳴り響いた。

「あれ? この着信音は誰の?」
一斉に各自携帯電話をチェックするけれど、誰のでもない。
という事は、さっき鳴ったのは私が先輩から預かっている携帯電話。何の用だろう?
この携帯電話は預かっているだけだから、他の誰かにアドレスを教えたりしていない。
だから、受信するのは先輩からのメールだけ。でも友達と一緒にいる時に先輩からの何かしらのアクションがある時は碌な事が無い。
さっきの着信音の発信元はやっぱりこの電話で、メール受信のランプが付いている。溜息を付きながら中身を読んだ。

“近くまで来てる。一緒に星を見に行かない?”

文面を見て冷汗が背を伝っていく。気が付かなかったけれど、思わず文面を口に出して読んでしまっていた。

「ねえ、夕鈴。そのメールは誰から?」
「えーと・・・その・・・あの・・・」
「いつも学校帰りに会いに行く、この前校門の前で夕鈴の事を待っていたあの人ね?」
「えーと、そんなわけ・・・」
「もちろん、行くわよね!? ね!? とりあえず、30分後駅でってメールして・・・!」
「え? でも・・・」
「いいから早く・・・! 夕鈴が送らないと私が代わりに送るわよ・・・?」

有無を言わされずにメールの返信を送らせられ、皆に捕まってやりたい放題着せ替え人形にされた。


 夕鈴が友達と勉強合宿に行って暇を持て余していた僕はふと、ある事を思いついた。
それから色々と用意をして夕鈴が泊まっている所まで車を走らせる。

星を見に行こうと誘ったメールの返信は

“30分後、駅の近くに行きます”

という短い文章だけだった。
何時もの事だと特に気にせず、駅の駐車場で待っているとようやく夕鈴が来る。

「急に呼び出してごめんね?」
「あ、いえ、大丈夫・・・です」

なかなか明るい電灯の下に来てくれない。

「どうしたの? 寒いからこっちおいでよ?」
「えーとあの、少し恥ずかしくて」
「じゃあ僕からそっちに行くよ?いい?」
「駄目です! こっちに来ないでください!」
「じゃあ夕鈴がおいで?」

そして僕は、明るい電灯の下に来た夕鈴を見て絶句してしまう。
いままで制服を着ている夕鈴しか見たことが無かったから、それしかイメージしかなかった。
だから今日も何となく夕鈴は制服を着ていると無意識のうちに思い込んでいた。
友達と一緒にこんな所まで制服で来るはずがないと、少し考えれば分かったはずなのに。

始めてみる夕鈴の私服、着ている服が似合いすぎて可愛くて、何を言っていいのかわからない。
普段と違う髪型を褒めようと思ってもそれに合う言葉がすぐに思い浮かばない。
文字通り視線が夕鈴に釘付けになり、思考が止まった。

「あの、これ友達が無理矢理・・・! へ、変でしたか・・・?」
「変じゃないよ、可愛いよ! うん、とってもかわいい!」

僕は咄嗟の出来事にこんなに反応出来ない人間だっただろうか?
当り障りのない事しか言えない自分が恥ずかしい。夕鈴の事、もっともっと褒めてあげたかったのに。
一緒に来ている友達が無理矢理着せたと言っていたけれど、僕は内心、その友達に感謝する。


「えっと、と、とりあえず行こう・・・か? こっち」

夕鈴の手を握って目的地に向かって歩き出した。



→ 金平糖の味 5



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