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触れられない 5.5

【二次SS】【バイト妃原作より】【暴力表現あり】
・後半暴力的な表現があります
・今回シリーズを通して夕鈴が痛い予定です

-*-*-*-*-*

最近政務室の空気がすこぶる悪い
おまけに終わりが見えない大量の書簡
いつもなら本人が適度に休憩を入れて
仕事が途切れる事があるが今はそれが無い
この絶対零度の政務室の温度を春のように
暖かくしてくれる切り札も… 無い…

仕事が滞らないのはいいことだが
はかどりすぎてそれに官吏達が付いてこられず
今日もまた1人、また1人と体調不良で倒れていった。

「陛下、そろそろご休憩を入れてはいかがですか?」

そう問いかけるも返事はなく、筆も走り続けている
たとえ返事があっても鋭い視線で殺されるだけだから
まだ良い方だと捉えるしかない。

「はー・・・いい加減にそろそろ息抜きをしないといけませんね」



数刻後、昼の休憩に入ったタイミングで声をかけてみた
「狩りだと?」
「はい、ここからそう遠くない場所の街に
狸がいるようなので"狩り"に参りませんか?」
「・・・・・」
意図に気が付いたらしい狼は鋭い視線を私に向けた
「それもいいな」 そういいながらクククと笑う表情が恐ろしい

数日後"狩り"に出発する。向かっている途中陛下の馬車ではなく
私のほうの馬車に浩大がやってくる
「おーい李順さん。ほらこれご注文の物」
少し土で汚れた布の包みを渡された
「ご苦労さまでした」
そういいながら包みを開けると書簡の他に小さな袋が入っていた

「浩大この小さな袋はなんですか?」
「あー俺それ受け取ってから中身見てないからわからネーヨ?」

言い回しからこの書簡は浩大が用意したものではないと悟り
小さな袋の中をあけてみると耳飾りが出てきた

「耳飾り… ですか? 浩大、これは何処で?」
「その耳飾りの持ち主からとしか俺は言えないな
本人を連れてこようとしたら "役に立ちたい" って拒否されたし?」
「…分かりました。このことは陛下には内密に」
「りょーかーい」

この耳飾りには見覚えがある。陛下がどうしてもバイト妃にと言って
作らせていた耳飾りだ。という事は目的地に行方不明だった兎もいる

途中で道から外れた所にある古びた小屋がどうしても気になると
陛下が言って隊列が止まった

警備兵が中を確認するが特に何もないというので出発しようとしたら
制止を無視した陛下が中に入っていく。
出てくると只でさえ怒っていた表情がさらに怒りを増したような
顔をして戻ってきた。陛下の手にはあの耳飾りがあった。

「李順、兵士はどうなっている平和ボケか?」

そう言い捨てるとまた馬車に戻って行く
馬車に乗る直前に伝言をした
「黒い狸と兎がいます」の言葉を陛下はどう捉えるか




 街に到着してこの辺りを治める楊大臣の屋敷へと行く
この後おこる事態を考えると非常に頭が痛いがそれも今更かと思った
浩大にこの後の指示を出してから陛下に続いて屋敷の中の用意された
部屋へと足を進める。

「陛下におかれましては遠方からのお越し恐縮でございます」
「…ふん、楊大臣、堅苦しい挨拶はいい」

部屋に通されるとあまり時間が経たない内にこの家の主人である
楊大臣が現れた。数人、官吏の格好をしている人間を連れているが
纏う空気は浩大と一緒だった。

「狩りにおいでとの事ですが裏の山ではよく獲物が取れますゆえ…」
「"狩り"か… ああ李順、たしか私たちは"狩り"に来たんだったな」

「はい、陛下左様です」
危ない。周りに気を取られていて一瞬返事が遅れる所だった

「楊大臣、兎と丸く太った狸がほしい…」
「兎と狸でございますか? 兎は今春の季節ですから
繁殖のために動き回っているでしょう。ただ丸く太った狸との事ですが
それは秋になりませんと…」

「ほう? 丸く太った狸はいないと?」

陛下が剣を手にゆらりと椅子から立ち上がる
陛下の纏う空気は狙った獲物を逃す気の無い狼陛下だった。

一瞬で場が緊張に包まれた。
官吏の格好をした刺客が陛下に切りかかるが
すぐに陛下から反撃を受け血を流しながら物言わぬものと化していく
陛下の剣と体が血で赤く染まり、その血が陛下の手をも染めていく
最後の1人を切りつけると部屋の隅で腰を抜かしていた楊大臣の
喉元に剣をあてる

「楊大臣、狸は汎用性が高い。肉は臭いが土に埋め
時間がたてば何とか食せる。毛皮は防寒具になり
さらに毛はやわらかく筆にもなったな」

そう言うと大臣の髪を剣で切り落とした
血に染まっていない方の手で懐から耳飾りを出して
大臣の目の前に出して問う

「狸は狩った。あとは兎だ。この耳飾りをつける兎は…どこだ」

「ぞ… ぞ… ぞんじあげません!」

怯えきった表情で答える大臣は今にも命乞いをしそうな勢いだ

「ほう… いい度胸だ。そんなにこの剣を血に染めたいか?」

そう言って切りつけようとした瞬間

「陛下、おまち下さい!」

部屋に凛とした鈴のような音が鳴った



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