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真心を貴方に 5

【二次創作SS】【夕鈴が立后するまで】
・オリキャラいらっしゃいます

-*-*-*-*-*

 4人で後宮の方角へ逃げた。前を方淵が走り私は石英さんの手を
繋いで、後ろを水月さんが走る。進行方向から殺気を感じた。
後ろからもその殺気は向けられていて、狙いは私達だというのが
一目瞭然だった。このままだと退路がない。前後と左は後宮の庭
右は立入禁止区域。身を隠すのは右側しかない

「皆さん、後宮の立入禁止区域に身を隠しましょう」

全員がびっくりした顔でこちらを見る

「何を言っている! 後宮は陛下以外の男は立入禁止だ!
逃げるならお妃様と侍女の二人だけで逃げろ!」

「方淵殿のいう事は分かっていますが今は非常事態です。この状況で分散
するのは危険ですし刺客も御二人だけでは数に敵いません。ここは後宮に
逃げるのが最善です」

それにそろそろ石英さんの体力が持たない。

「それに、私が後宮に男の人を入れたと罰をうけてもあなた達二人が
陛下の傍からいなくなるよりましです。さ、こっちです」

進行方向右にずれ、今度は私が先頭になって逃げる
適当な部屋に入ろうと扉を開けたら戸惑う六つの目に見つめられた

「さあ、早く入ってください!」


適当な部屋に入るとこの前掃除に来た部屋だった。
ひとまずここで休憩する。全員息が上がっていた

「ひとまず安心かな?」

水月さんがほっとしたような顔で問いかけてきた
でもまだ回りに刺客の気配は消えていない。今後どう逃げようか
頭の中に地図を描いて考えてみた。老師の所まで行ければ少しは
安全かと思うけれど、ここからはだいぶ遠い。
隠れながら移動するには遠すぎる距離だった。

「ひとまずここに身を隠すのはいいとしても、ここは庭から近いです
からすぐ刺客に見つかります。出来れば老師の元に行ければ一番いい
のですがここからは大分遠いです」

全員の顔を見ながら考えていたら着付けの時に感じた時と同じ違和感を
感じた。なんだろうこの違和感は。心が少し痛む。

考えていたら刺客の気配が遠ざかって行った。場所を変える絶好の機会

「皆さん、いまの内に場所を変えましょう」

そう言って隠れる場所を変えた。

何回か隠れる場所を変更しながら逃げていたら後宮の奥まできてしまう
でもまだ掃除をしにきた事がある場所だからなんとかなっている。
途中、三人からふとした疑問が投げかけられた。

「お妃様… なぜそんなに立入禁止区域に詳しいのですか?」

そう聞かれて掃除しに来ているなんて言えないから一瞬何て言おうか
迷ったけれど口は勝手に答えを出す、団扇で顔を隠しながら言った

「お妃の基礎知識です。それくらいできないと陛下のお傍にいられません
陛下の傍にいるためにはただ後宮の中で優雅に咲いているだけでは駄目
なのですよ」

普段のお妃スマイルが自然に出てきた。よかった。

「さあ、次はこちらです、急ぎましょう」

刺客の数はだんだん減ってはきているけれど、ゼロにはなっていない
イタチゴッコはそろそろ終わりにしないといけない。でもどうしても
それより気になる事があって隠れている場所でついに口に出してみた

「石英さん… 答えたくなかったら答えなくていいから」
そう言って目を見つめて問いかけてみた

「以前、楊大臣が治めていた土地にいらっしゃった事はない?」
「楊大臣様ですか? はい、現在領主は換わったようですが以前は
その土地に住んでおりまして… 両親はもう他界しておりますが
家には祖父母が住んでおります… でもどうしてでしょうか?」

ようやくあの時の違和感の正体が分かった。彼女の仕草が横顔が全てが
あの時私を助けてくれた老夫婦になんとなく似ていたから。
思わず彼女を抱きしめた。

「…ありがとう、私はあなたの祖父母に助けてもらったの。
まだ夫妻にお礼もしていないの」

彼女をあの老夫婦の所に帰してあげたいとそんな事を思った
暫く彼女を抱きしめてから顔を上げて三人から少し離れた所に立つ


 そろそろ退路も無くなって来ている。私たちを追いかけてくる
刺客の事を思いながら今後を考える。狙いは他国の使者達でも
陛下でもない。刺客たちの狙いは私。私の為に3人に怪我をさせる
訳にはいかない。そしてある決意をした。衣装が宴の為に何時もより
豪華になっていたから3人を説得する材料になる。
手に団扇もある。さっき自然とお妃スマイルも出てきたし皇女の
前でもそれは崩れなかった。それに前、李順さんに

「その僅かな表情の変化で付け入る輩が湧き自分を追い詰める」

と言われたからきっと王宮で表情は自分の弱点にもなり武器となる

背筋を教えられた通りにしっかり伸ばして立ち上がり、半分顔を
団扇で隠しながらニッコリ笑ってみた。

「方淵殿、水月さん、そろそろ逃げるのは止めにしませんか?」

後ろ盾もない。貴族の身分と教養すらない、ただ陛下からの寵愛しか
持たない私の最大の武器。それは誰にも負けない陛下を思う“心”

王を癒す場所でそこでただ一輪、僕の為に咲いていてと願われた。
今は使われていない場所の片隅で私とは思う気持ちが違うけれど
陛下の事を思う人たちを失いたくない。そしてなにより私が貴方の
陛下の役に立ちたい。私が今できる精一杯の事をしたい
その一心で言い放った。

「三人だけで逃げてください」

三人の表情が青ざめたのはきっと気のせい。


→ 真心を貴方に 6


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