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真心を貴方に 8

【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【夕鈴が立后するまで】
・オリキャラいらっしゃいます
・夕鈴が怪我をしています
・一部に少しだけ血の表現があります

-*-*-*-*-*


〔梅の思い〕

 陛下が重症の夕鈴殿を抱えて宴の場に戻ってきた。方淵殿と水月殿は
黒い衣を着た者を連れていて、夕鈴殿付きの侍女は泣き腫らしていた。
刺客がその場で首謀者を吐き、陛下は夕鈴殿の手当てのためだろう
自室へと戻って行った。最悪の事態を考える。陛下が唯一と願った
花が散ってしまったとき時の事を考えていなかった。きっと言う
あの花が唯一だと。あの花以外は要らないと。
このあとどう対応しようか頭の中で考えていたら周宰相がこちらに
向かってきて囁かれた

「お妃様のような… 娘が私に居たらよかったですね…」

その言葉に一瞬思考が止まったが、警備兵に指示を飛ばしに
また現実に戻った。


〔白の想い〕

 唯一心を許す少女を抱いたまま、目的の場所まで足早に向かう。
あの音色は弱々しく奏でられていた。自分が全てを持つものならば
その全てを投げ打ってでも少女を助けたいと心から願っていた。
少女の血で染まる手を見つめながら歩く

この奏でる音色が無くなったとき、自分はどう送り出せば
いいのかなんて考えたくない

囁かれる歌の意味を理解して唇を噛む。後宮に閉じ込めておけば
こんな事にならなかったのかとも思うけれど、それは少女も自分も
望んだ事ではない。ただずっと自分の傍で辛い思いをさせずに笑顔を
絶やさないでいて欲しかっただけなのに。どうすれば僕の傍から
居なくならない? 声が嗄れてしまう位愛を囁けば居なくならない?

もう君がいない世界なんて嫌。ずっとずっと時が流れても
君の手を握りながら君の傍にいたい。傍で笑っていてほしい。

「僕の事…忘れないで…」「ずっとそばにいてほしい…」「行かないで」

いつの日にか一緒に歩いていこう願い、紡がれたその言葉と想いは
悲痛な叫びとともに空へと解けていった。


〔唯一の想い〕

 遠ざかる意識の中、あの音色が聞こえてきた。その音は自分の物か
彼の物か分からないけれど、この音を聞いていると安心する
この音を知らないで過ごしていたら自分は今どんな道を歩んでいたのか
分からない。私が居なくなった世界にいる彼の事を思う
最初で最後でいいからあの言葉を一度だけでいいから直接送りたかった

「貴方ただ一人を愛しています。永遠にずっと貴方の傍に…」

この言葉は誰にも届くこと無く、風に乗って何処かに消えて行った


*―*―*―


 意識がないはずの夕鈴から伝えられた詩
”我妹子に恋ひつつあらずは 秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを”

…そんな歌、聞きたくなかった。夕鈴がただ一人だと言ったのに。
伝わらないと思っても詩を返す

”恋ひしきに命をかふるものならば 死にはやすくぞあるべかりける”
君が居ない世界になんてもう僕はいたくない

 事後処理をすべて三人にまかせ、足早に自室へ向かった。
自室につくと女官は青ざめ何人かが直ぐに侍医を呼びに去っていった
ゆっくりゆっくり夕鈴を抱いたまま長椅子に座る

今の夕鈴を下手に動かす訳に行かないからそのままの体勢で侍医を待った
足早にやってきた侍医は一目見て表情を強張らせた

「恐れ入りますが暫くそのままの体勢でお願いできますでしょうか?」
「あぁ……」

着ている衣装を道具で裂き、消毒しながら背中の小刀を抜く
時より温かい物が体を支える手に流れてくる。
夕鈴の意識が無いのは不幸中の幸いだろうか
腕の治療も終わると、夕鈴の侍女が夕鈴に夜着を着せた

「陛下、私にお妃様の事をお任せ下さい」
そう言う侍女の言葉の裏には強い炎が灯っている
そのまま夕鈴をうつ伏せに寝台に寝かせた

「私が留守の間、任せた」
「御意」

 執務室に戻ると李順が指示を飛ばしていた。無言で机に座る
「陛下… お妃様は…」
「熱が出ている」
「………」

侍医からまず熱が下がらないと駄目な事、目が覚めないと腕の神経や
背中の傷が何処まで達しているか分からない事が告げられた

 その後、後宮で起こった事について報告を二人から聞いた。
話を聞いて夕鈴らしい行動と言えば夕鈴らしいが、もう少し自分の立場を
認識して欲しいと思う。その後は四人であの国の処遇について話し合う
話し合いが終わると浩大がやってきて刺客について報告を聞く
夕鈴の誘拐、軍部の情報を盗んだ事や数ヶ月前窓から夕鈴が落ちた件
夏に川に転落した当時その件で捕まった貴族に雇われていた事。
皇女に雇われ夕鈴を殺そうとした事。素直にすべて話しているという。
そして一連の事柄に対して命で償うと言っているここまで素直だと
逆に毒気を抜かれる。処遇は後回しにする事にした

「陛下… そろそろお召し替えを…」
李順から言われて始めて自分が血だらけなことに気が付く
夕鈴の血なのか侵入者の血なのか分からないが、血で染まった手を
見つめ早く落としてしまいたいと思わない血は始めてだと思った。


 夕鈴が目覚めないまま数日がたった。いまだに熱は下がらない。
他国の使者は意気消沈した皇女を連れて帰国していった
そんな事があったある日、中央殿で官吏達が全員集まっていた。

「妃を正妃にする…」

何時もの通り冷たい空気で言い放つどうせまた反対されると思っていた
周宰相、氾大臣、柳大臣それぞれが一歩前に出てその場にいる官吏全員が
あの時のように揃った礼を取った
「陛下、お妃様のご立后の件承認いたします」
声を揃えられ予想と反した言葉が出てきて少々驚愕したが
「是」の言葉であれば問題無い

「……周宰相、尖晶国の件が終わったら婚礼の準備を整えよ
後宮は準備が出来次第閉鎖する」
「御意」

そう言い残して執務室に戻った。李順が追いかけてきたから人払いする
「李順、なにかした? あの狸達が賛成するなんて…」
「いいえ私は何もしておりません。周宰相は元々賛成だったとしても
あの二人の大臣が賛同するとは思いませんでした」
「「………」」

裏で何が動いたのか気にならないと言ったら嘘になるがいずれにせよ
汚い手を使わなくて済んだのはよかった。

「尖晶国の件はどうなっている?」
「尖晶国は今後我が国の藩属国になりますが元々弱っていた国です。
消えるのもそう遅くは無いでしょう。跡継ぎもはっきり申し上げると
あの皇女様だけの様な物でしたしね。それとあの刺客ですが… 
あれでよかったのですか?」

「ああ、いい」

李順の言う通り地図からあの国の名前が消えるのはそう遠くないだろう
夕鈴の侍女は生まれた土地に帰らずにそのまま侍女として働く事を望み
刺客は国の隠密として働きながら初恋の人をそっと見守る事を望んだ

「命で償うと言うのなら、一生"物"となって働いてもらおうか」
地下の部屋で床に座る刺客を冷たい視線で射抜き、そう冷たく
言い放ったのに返ってきた言葉は意外な物だった

”はい、一生あなた様の"物"となって働かせていただきます”


→ 真心を貴方に 9



陛下が御影さんを処分しなかったのに私が一番ビックリしています

浩大さんのつぶやき
「・・・・その言葉をなぜお妃ちゃんに言わないかねぇ・・・」


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