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真心を貴方に 10

【二次創作SS】【黎翔×夕鈴】【夕鈴が立后するまで】
・オリキャラいらっしゃいます

-*-*-*-*-*

陛下に会いたい…

この想いが陛下に伝わらないようにと願った事やこの恋が秋萩のように
潔く散ってしまえばいいと思った事もあったけれど、でも最後に
もう一度陛下に会いたいというこの思いはあきらめられなかった
会いたくて、その白い世界で手を伸ばして何かを掴もうとしてみる
けれど何もつかめなかった。陛下の所に帰ろうと思ってまた歩き出す
でも白い世界が永遠と思えるくらいに続いていた。
暫く歩いたら急に何かに包まれた感触がして、陛下の香りがしてきた
同時にトクトクという音がするその音が何の音か理解して思わず
立ち止まると目の前には陛下が二人、狼になった陛下と子犬の陛下。
二人とも私を見つけると「夕鈴」と呼ばれ戸惑っていたら何度も
二人から名前を呼ばれた。そしていつの間にか二人は一つになって
「「夕鈴」」とまた呼ぶ

…二人の陛下が一つになったとき、あれはどちらも演技じゃない
本当の陛下なのだとそう分かった瞬間、あの日の歌が聞こえてきて
唇が熱くなった。

あの甘酸っぱい味を感じながら対の歌を口にする

”雷神の少し響みて降らずとも我はと留まらむ妹し留めば”

「ずっとそばにいてほしい…」という言葉を思い出して願う

陛下のところに帰りたい…。帰らなきゃ・・・。お茶を淹れなきゃ…

「行かないで」と声が聞こえた気がしたけれど私は行かなくちゃ


            陛下の傍に!


すると急に景色が変わってまた目の前に陛下の顔が現れた。
背景からあの時の四阿にいるのが分かる。

「夕鈴!?」
「私・・・私陛下にお茶を・・・淹れて・・・あげたい・・・です」

そう精一杯微笑みながら言うと、涙が一筋陛下の頬を伝っていく
涙を見るのは2回目。左腕を必死で動かして陛下の衣を掴んだ

「今の陛下も、狼陛下もどちらも本当の陛下だったのですね」

本当は涙を拭いてあげたかったけれど、手がこれ以上動かなかった
ギュッと抱きしめられ、そのままゆっくりと時間が流れていく
陛下の孤独に触れて癒してあげられたらと思ったあの時のように
太陽は茜色に空を染めていった。


 四阿で目覚めて陛下の部屋に戻ると泣き腫らした石英さんに迎えられ
侍医から簡単な今後の生活についての説明を受けた。
傷の両方とも致命傷は外れていて今回は運が良かったと言われた。
陛下の寝台で横になっていたら陛下と李順さんがやってきたから
起き上がろうとしたら、陛下が体を起こしてくれた。背に枕を入れて
もらい楽な姿勢にしてもらう。

人払いをすると早速李順さんが話をする

「さて、夕鈴殿まずお見舞いを申し上げます」
…李順さんの放つ空気が怖い

「そして夕鈴殿、柳方淵と氾水月に傷を負わせると問題になると
思ったようですが… 貴方は自分の立場をお分かりですか!?
陛下の唯一なのですよ!? そんな貴方に何かあったらどうなると
思っていたのですか!!!」

「ご… ごめんなさい…」
陛下は何も言わないで不機嫌そうにこっちを見ている

「とりあえず、日時は未定ですがご立后は決定しました」
「あ…」
陛下と本当の夫婦になるという事。正直実感はまだ湧かない

「今はその体では無理でしょうし、政務も詰まっています。
政務が片付きしだい、1日ご実家に帰ってご挨拶に行ってきて下さい。
陛下、夕鈴殿の部屋の移動の許可をお願いします」

「うん、李順にまかせる」
「今回の尖晶国の件がありますから立后式は早くて春遅くて夏です
それまでにお后教育をもっと、みっちりやりますのでそのつもりで」

そう言いながら一指し指でメガネを少し上に上げて私を見た李順さんは
狼陛下の冷たい視線よりも冷たい視線を私に送ってきた

「は…はい、がんばります…」

「では私はこれにて。陛下は一刻したら戻ってきてください!!」
ちょっと怒りながら李順さんは戻って行った

「さて夕鈴、君は自分の立場を分かっている?」
きっと怪我をした事に対して陛下は怒っている
「はい、危険な事をした事については謝ります… でも…」
「でも?」
「それくらいしないと私は陛下のお傍にいられません。陛下の唯一は
 ただ後宮の中で優雅に咲いているだけでは駄目なのですよ」
そう笑いながら言うと陛下は困った顔をして
「参ったな…」 とだけ呟いた


 ようやく動けるようになり一度下町へ家族に挨拶をしに行った

それから今まで使っていた部屋を片付けて正妃の部屋に引越しをして
衣装を新しく作ったり立后式の時に着る衣装を選んだり目まぐるしく
日々は過ぎて行った。忙しい冬のある日にどうしてもお菓子を陛下に
作ってあげたくなったから作って陛下に持って行ったら目を丸くして
驚かれた「夕鈴、ありがとう」そう陛下が屈託の無い顔で微笑んで
くれているのを見て、ようやく陛下は私に素を見せてくれるように
なったのかと思う

そしてまた日々は過ぎて立后式当日になった。儀式が終わり衣装の重さに
耐えながら宴に参加する。演目の小休憩中に李順さんから呼び出されて
陛下とその場所に向かうと官吏の姿をした父さんと青慎がいて手には
「梅」の枝を持っていた。
李順さんは「これは私達からの精一杯の心です」と言い、父さんと青慎の
二人が私に梅を渡す。梅の花言葉を思って涙を流してしまう。
あの王宮で少なからず味方はいる。衣装替えの為に用意された部屋に
戻ると軽く髪を直し衣装を着替える

石英さんが言う
「お妃様、本日のお世話をさせていただき、真に光栄です」

彼女は一度里帰りしたもののまた直ぐに戻ってきてくれた

”前にお妃様に一生付いていきますと申し上げました”と言って

「ありがとう」とだけ笑いながら言ってまた宴に戻る。
目まぐるしい一日はあっという間に終わっていった。


 立后式が終わって数ヶ月後、また雨の季節がやってきた。
あの時はここに残るなんて夢にも思っていなかったけれど
それも夢じゃない。庭を散策しながら二人で手を繋いで歩いていた
その隣で嬉しそうに笑っている陛下の笑顔が嬉しくて、私も笑う。
陛下が不意に話を始める

「ねえ夕鈴、虹に関する逸話を知っている?」
首を横に振る

「虹はね、暗い色と明るい色が結合しているでしょ?
 だから陰と陽の結合、調和のしるしとされているんだよ。」

陛下はまだ続ける

「泉や湖が丸いのは、虹のヘビが体を休めるためにとぐろをまいて
休憩していたからで、虹のヘビは乾季の間は泉の奥に潜んでいて雨季に
なると泉から姿を現して雨を降らせる役目を果たすと信じられている
空に掛かる虹は次の雨季に備えて虹のヘビがそれまで暮らしていた泉や
川から新しい棲み家へと移動していることを現しているんだって」

去年、水神の祠に行った事を思い出した

「今年も水神の祠にお参りに行かなくてはいけませんね」
「今度は川に落ちないでね?」
「陛下、大丈夫ですよすぐ帰ってきますから」
「そう言って帰ってこれなかったのは誰?」
「忘れちゃいました」
「まったく…」

そう言って陛下に抱きしめられた。その時の振動が耳飾りを揺らす
あの時贈られた陛下の心を表した耳飾り

今一番の宝物



二つの真心



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